経営者の「休み」が会社の成長にも重要である理由と戦略的な活用法

近年では働き方改革やワークライフバランスなどの浸透により、かつてのように猛烈に働くばかりではなく、休みや自分の時間を充実させることへの関心が高くなっています。もっともこれはサラリーマンなどを想定した話ではありますが、経営者にとっても決して無縁ではありません。

経営者はとかく「働いてナンボ」という意識の方が多く、自分の会社を大切に思うあまり、ついつい休みなしで働きすぎてしまう傾向があります。しかしこれも実は決して良いことではなく、適度に休みを入れることも重要です。

当記事ではサラリーマンではなく、経営者にとっての「休み」の重要性、また休みたくてもなかなか休めないとお嘆きの経営者の方々にも効くお話をしたいと思います。

1.経営者にとって休みがとても重要である理由

従業員はもちろんのこと、経営者にとっても休みはとても重要です。経営者だからこそ休むべき理由を、最初に押さえておきましょう。

1-1.健康を守るため

人間の体は、働くのと同じだけ休むことでバランスを取るようにできています。しっかり働いたあとは十分な休息や睡眠をとることは健康を守るためにもきわめて重要です。経営者は体が資本なので、経営者が元気でなければ会社も元気ではいられません。

1-2.メンタルヘルスのため

体の健康と同様に重要なのが心の健康、メンタルヘルスです。近年ではメンタルヘルスへの関心がとても高くなっており、心身ともに健康でなければ健康とは言えないという価値観が主流になっています。

社長業は孤独であり、なおかつプレッシャーとの戦いです。そのため心に対する負担も大きく、あまりメンタルが強くない人だとそのせいで精神的に病んでしまうことがあります。これを防ぐためにも重要なのが、十分な休息です。

睡眠不足が積み重なることを表現する、睡眠負債という言葉があります。睡眠負債は文字通り借金のようなものなので、これが積もりすぎると鬱などを発症する引き金になると言われているため、メンタルヘルスの観点からも経営者はしっかりと休むべきです。

1-3.社員が休みやすい環境を作るため

率先垂範という言葉があります。人の上に立つような人が模範となるような行動をするといった意味合いです。経営者にとっての休みは、社員が休みやすい環境を作るための率先垂範の意味も込められています。

日本の企業文化として、休むことは悪であるという考え方が根強くあります。逆に休みを返上して働くことが美徳である、という考えを持っている人も依然多くいます。しかしこれは今や機能しない古い価値観であり、そんな企業風土を持っている会社が成長する余地は少ないでしょう。

会社の成長のためにも、経営者が率先垂範をして休みを取り、社員にもそれを浸透させていくべきです。

1-4.経営のワンマン化を防ぐため

いわゆる「モーレツ社長」とは、朝早くから夜遅くまで仕事をして、休日も関係なく働くような人のことです。このような働き方をする経営者がいると、社員はいつでも社長の指示を仰げる環境にあるため、すべての決定権や指示系統が経営者に集中してしまいがちです。

もしこの状態で経営者が病気で倒れるなど戦線離脱をしてしまうことになったら、会社は途端に指示系統を失ってしまい混乱することでしょう。これはワンマン経営の弊害そのものですが、こういったリスクを軽減する意味でも経営者は適度に休みを取って社員に任せられるものはどんどん任せていくべきです。

2.経営者が休まない、休めない根本的な理由

経営者が休むことの重要性を解説しましたが、それでも「分かってはいるがなかなか休めない」という声も聞こえてきそうです。それでは、なぜ経営者は休まない、もしくは休めないのでしょうか。考えられる原因を3つピックアップしました。

2-1.旧態依然とした日本の企業文化

経営者が休まない、休めない理由として最も深く関連しているのは、おそらく旧態依然とした日本の企業文化です。日本人はとても勤勉な国民性なのでよく働くことは美徳であるという価値観が古くから機能してきました。しかしそれは一方で休むことは悪であるという価値観も含んでしまっているため、社員に模範を示すために休みを返上で働く経営者が多数いました。

そんな会社では社員も休みづらいので、結局労使双方がお互いにプレッシャーをかける形で休まない社風を作ってしまうのです。

これでは心身の健康によくありませんし、そもそも何のために働いているのか分からなくなってしまいます。こうした古い企業文化のために休みにくい社風があるのであれば、今すぐにでも改善に取り組むべきでしょう。

2-2.生産性が低い

長時間労働をしなければ仕事をこなすことができないのであれば、それは生産性の低さが原因かもしれません。休みをとっていてはお客さんのオーダーに間に合わせることができない、忙しいから休みも取れない・・・というわけです。

生産性の低さゆえに長時間労働が常態化し、休みを取りにくくなっているとすると、そこには「業績とは無関係の仕事」が多数含まれている可能性があります。よく「会議のための会議」と揶揄されるような無駄な会議が多い会社のことがやり玉にあがりますが、これもその典型例でしょう。

忙しくて休みが取れないとお感じの場合は、多くのタスクの中に業績と直接の関係のないものがどれだけ含まれているか、一度精査してみてください。

2-3.IT化など業務改善が進んでいない

省力化や業務改善も、適切に休みを取るために重要なプロセスです。反復するような事務作業であればRPAといって自動化する手法がありますし、さまざまな業務をIT化、自動化することにより省力化や労働時間の短縮を実現できる余地はたくさんあります。

とかく日本の企業はこうした効率化において立ち遅れていると言われており、それが日本企業の労働時間を長くしてしまっていることは否めません。新型コロナウイルスのパンデミック時にはリモートワークが推奨されたものの、「ハンコ文化」のせいで完全なリモート化が難しいとの指摘がありました。これも非効率の象徴のようなもので、日本の多くの企業にはまだまだ効率化できる余地が多分にあると考えられます。

3.経営者が実践するべき「休み」の効果的な活用法

ここまでお読みになって、経営者にとって休むことは大切な仕事のうちだとお感じだと思います。ここではその「休み」を戦略的に活用し、経営にいかす道筋を解説します。

3-1.とにかく休んでみる

なかなか思うように休めないのであれば、いっそのこと何も考えずにとにかく休んでみましょう。それまであれこれと懸念があったかと思いますが、いざ強行的に休んでみると意外に問題が大きくならないことに気づくかもしれません。

体調が悪くなって休む場合はリスク度外視で突然休むことになるのですから、そうではなく健康な時に「まずは休んでみる」を実践してみる方が、はるかに低リスクです。

とにかく休んでみて何が起きるのかをよく観察してみて、そこから見えてきた課題を克服していくことで経営者が休みやすい環境が整備されていくでしょう。

3-2.ITを活用して会社全体の業務効率化を進める

経営者や従業員などが十分な休みを取るには、やはり効率化が欠かせません。特に少ない人員で多くの仕事をこなしている中小企業であればなおさらで、業務改善や効率化による恩恵はより大きなものになります。

ITによる業務の自動化は、おそらく多くの経営者の皆さんが想像している以上に進んでいます。将来に向けて人手不足はより深刻化していく可能性が高く、それも見越した業務効率化の戦略はとても有意義です。以下のようなサービスや手法は業務効率化に有効なので、ぜひ一度検討してみてください。

・グループウェア(情報共有の効率化)

・RPA(事務作業の自動化)

・オンライン会議システム(リモートワーク促進)

・ERP(会社の全業務をシステム化)

・CRM(営業活動のオンライン化、自動化)

これら以外にも、業務効率化に役立つツールはたくさんあります。ニーズの高い分野だけに今後もますます進歩していくと思われるので、きっと役に立つものがあるはずです。

3-3.任せられることは社員に任せる

経営者が休みを取らずに常時働き続けていると、経営のワンマン化を招くと述べました。それでは逆に社員に任せられることはどんどん任せて権限も与えることで、経営者は自分の時間を持ちやすくなります。

ワンマン経営は意思決定の速さなどメリットもあるのですが、やはり中長期的にはリスクが高く、将来の事業承継もスムーズに進めにくくなるため、社員に任せることは任せて集団的な経営に移行していくことを強くおすすめします。これは経営者が休みを取るためだけではなく、会社の持続的な成長のためでもあります。

4.まとめ

経営者は休みにくいとお感じの方に向けて、休みを取ることの重要性から休みを戦略的に活用する道筋まで解説をしてきました。たかが休み、されど休み。休みを取ることが会社の成長においてもこんなに重要なのかとお感じなのではないでしょうか。記事中でも触れている通り、「とにかく休んでみる」ことも有効なので、まずはできることから試してみてください。

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