テンプレートと記入例から見る!事業承継計画の意味と立て方

事業承継計画について調べていると「事業承継計画」という言葉を目にすることがあるのではないでしょうか?

しかし事業承継計画といわれても、すぐにぴんとくるものではありませんよね。もちろん事業承継に臨むならば、誰であってもある程度は計画的に進めるでしょう。

そもそも事業承継計画の立て方はあるのか。ここはあなたも気になるポイントだと思います。

そこで今回の記事では、事業承継計画についてテンプレートから実際の立て方までを解説させていただきます。

事業承継計画はテンプレートに沿って作成することで、あなたの事業承継の状態を客観的に確認しやすくしてくれます。

そのため事業承継がスムーズに進む可能性が高まり、また、現在の問題点が可視化しやすくなるのです。

あなたもこの記事を読んで、ぜひとも事業承継計画を作成してみてはいかがでしょうか?

事業承継計画を立てる意味

それでは実際の事業承継計画の作成方法に入る前に、テンプレートに沿って事業承継計画を立てる意味について紹介させてください。

事業承継計画を立てる意味を知っておくと、作成の際の注意点も自然と理解できてくるはずです。

事業承継計画を立てる意味は以下の3つに集約されます。

  • 現時点の会社および事業の状態と問題点の整理
  • 事業承継に臨むスケジュールの可視化
  • スケジュールを後継者や専門家と共有

当然のことですが事業承継は現経営者一人で達成できるものではありません。

外部の専門家の力を一切借りないとしても、後継者は必ず存在するはずです。そのため事業承継計画を形にしておくことで、後継者との共通が簡単になるのですね。

現経営者と後継者の間で事業承継の進め方について食い違いが起こることはままあるので、そういった場合に計画を土台に話し合うことができれば効率が良いのではないでしょうか。

また事業承継計画を立てる過程で、あなたの頭の中も整理されていくはずです。その中で会社および事業の問題点に新たに気づくこともあると思います。

このように事業承継計画には、あなたの頭の中を整理するという効果も期待できるのです。

右も左もわからない状態で事業承継計画を作成することについて不安を覚えるかもしれませんが、計画を立てるだけであれば後からいくらでも修正ができますし、事業承継計画を土台に専門家の助力も得やすくなります。

あなたも、まずは計画を立ててみてはいかがでしょうか?

事業承継計画を立てるために情報を整理しよう

事業承継計画を立てるためには情報の整理が必要となります。そのためここで紹介させていただく方法で情報を整理することから着手していきましょう。

情報の整理としては、あなたの考える事業承継の概要をまとめていきます。まずは以下の表を埋めてみてください。 

現経営者  
後継者  
承継方法  
承継時期  
経営理念  
事業の方向性  
将来の数値目標  

以下は中小企業庁が公表している「事業承継ガイドライン20問20答」の27ページある内容を表に写したものです。

現経営者 中小 太郎(60歳)
後継者 中小 学(30歳):太郎の長男(現在、T社従業員)
承継方法 親族内承継
承継時期 7年目に社長交代
経営理念 適正規模で、全員参加の、高品質経営。
事業の方向性 ・三つ(雇用・設備・債務)の適正規模化を図る。

・現在の主力商品のマーケットシェアを一層拡大する。

将来の数値目標       【現状】  【5年後】      【10年後】

売上高 8億円   →     9億円     →  10億円

経常利益  3千万円 →  3千5百万円  →  4千万円

まずはこの程度の大まかな情報の整理で構いませんので、表にまとめてみてください。

もちろん決まっていない部分があれば空白でも問題ございません。情報を書き出すことに大きな意味があり、それこそが事業承継の第一歩なのです。

事業承継計画のテンプレートを確認

事業承継計画を立てる意味と基本情報の整理について解説させていただいたところで、ここからは本格的な事業承継計画を立てる段階に入ってまいります。

はじめにテンプレートを確認してみましょう。以下をご覧ください。

引用:「事業承継ガイドライン20問20答」

書くべきことが盛りだくさんにも見えますが、横軸は現在から10年目までの時間経過となっています。

そのため埋めるべき項目の種類としては縦軸のみです。そして縦軸も大まかに以下の4つに分類されています。

  • 事業の計画
  • 会社
  • 現経営者
  • 後継者

また横軸は最大で10年があるので、まずは10年以内の事業承継を検討していきましょう。

そもそも後継者を経営者として育成するためにも少なくとも5年はかかると言われているので、10年という期間は必ずしも余裕のあるものではありません。

そうであるからこそ事業承継計画を作成して、あなたの会社の事業承継の流れを整理し、後継者や専門家と共有しやすい態勢を整えておくべきだと私は考えます。

それでは次からはテンプレートの記入例を紹介させていただきます。

事業承継計画の記入例を確認

 

それでは事業承継計画の記入例を確認していきましょう。以下をご覧ください。

引用:「事業承継ガイドライン20問20答」

上で紹介させていただいたテンプレートの記入例です。ご覧のとおり、「事業の計画」は記事の前半で紹介させていただいた基本情報の整理からそのまま当てはめています。

そして最上段にある「基本方針」では以下の3つの基本的な方向性を記載しています。

  • 後継者として長男を想定した親族内承継であること
  • 社長交代の時期
  • 専門家の介入について

専門家の介入については記入例では親族内承継であるため弁護士と税理士が選ばれています。これがM&Aの場合であれば、そこに仲介会社やアドバイザーも記入される場合がありますね。

専門家はあなたの会社の望む事業承継のタイプから選んでいきましょう。

以下では事業承継計画を立てる際に注意点を3つ紹介させていただきます。

会社と現経営者の状況を正確に把握する 

事業承継計画を立てるためには会社と現経営者の状況を正確に把握しなければなりません。

現経営者がどの程度の株式を有しているのかという基本的なことから始まり、株式に譲渡制限が設けられているか、また現経営者の引退時期まで細かく把握していくのです。

特に中小企業の場合は株式が散らばることでスピーディーな経営が難しくなる恐れがあるため、なるべくならば株式の7割ほどは最終的に後継者に集中させたいものです。

記入例では、2年目と3年目に2人の人物から金庫株(自社株)を買い取り、7年目には現経営者に黄金株を発行しています。

黄金株とは別名「拒否権付き株式」と呼ばれるもので、たった1株でも有していれば株主総会の決議について拒否権を発動することのできるものです。

記入例で黄金株を現経営者に発行しているのは、7年目から株式の60%を握ることとなる後継者の株主総会における暴走を止めるためと考えられます。

つまり7年目から9年目までは筆頭株主である後継者(7年目からは社長)といえども現経営者(7年目からは会長)の同意なしに自由な経営はできないように設計されているのです。

そして社長も板についてきた10年目で黄金株を消却して、名実ともに新社長が経営権をしっかりと手にする構成となっています。

このように事業承継計画を立てる際は、あなたの会社に合った形で株式の取扱い方まで考えていく必要があるでしょう。

後継者の昇進について

続いて後継者の昇進について確認してみましょう。記入例では、現在従業員であるものが以下のように昇進していく設計となっています。

  • 1年目:取締役
  • 3年目:常務
  • 5年目:専務
  • 6年目:副社長
  • 7年目:社長

後継者をどうように昇進させていくかについて正解はありません。後継者の知識と経験の量、他の従業員や管理職との兼ね合い、こういったものを考えながら最適な形を探っていきましょう。

ちなみに私の場合は、父の会社に従業員として入社して、○年目で取締役、5年目で社長に就任しています。

親族内承継における後継者は最終的に経営に携わるので従業員でいる期間を過度に長くとる必要はないと考えますが、事業の基盤となる現場業務に接することはやはり大切ではないかとも思います。

そのため最初の1年~2年は従業員として働くのが適切ではないでしょうか。 

社長交代の時期  

事業承継計画を立てる際は社長交代の時期をあらかじめ定めておくことも重要であると感じます。それは交代の時期から逆算する形で後継者の教育・育成ができるためです。

上の記入例では、後継者育成として工場への出向、本社営業、本社管理、総括責任というものが組み込まれていますね。また社外での育成としては3年目に経営革新塾があります。 

このように社長交代の時期を定めておくことで、そこに至るまでに必要となる知識と経験を身に着ける流れをつくることができるのです。

社内での経験はもちろんのこと外部のセミナーも取り入れながら後継者が経営に携わる準備をしていきましょう。

事業承継計画の策定をサポートしてくれる機関

 

ここまで事業承継計画の立て方を紹介させていただきましたが、実際に計画を立てることはできそうでしょうか?

計画はいつでも修正できるため、まずはあなたの頭の中にある事業承継を計画に落とし込んでみることが重要かと思います。

それでも一人で計画を立てるのが不安だと感じる場合は以下の3つの機関を頼ってみても良いです。 

  • 各種士業
  • 金融機関
  • 中小企業基盤整備機構

いずれも中小企業の事業承継が社会的な問題であると認識しているはずなので、計画を立てる段階からのサポートが期待できるはずです。

中小企業基盤整備機構では事業承継に関係するセミナーや相談対応を行っているので、早い段階で一度訪れておくと見落としなく計画を立てることができるはずです。 

まとめ

今回の記事では事業承継計画について解説させていただきました。事業承継を始めようと考えても、多くの場合は何から着手すべきか悩んでしまうでしょう。

そういった時に効果的なのが事業承継計画を立てることなのです。

頭の中にあるイメージを計画に落とし込むことで、これまで気づかなかった問題点も見えてくる場合があります。

あなたもまずは事業承継計画を立てるところから始めてみてはいかがでしょうか?

以下は今回の記事のまとめです。

  • 事業承継計画を立てることでスケジュールと問題点が可視化できて、他の人物と共有しやすくなる
  • 事業承継計画を立てる前に基本的な情報を整理しよう
  • テンプレートと記入例を参考に、あなたも事業承継計画を立ててみよう
  • 株式の取扱い、後継者の昇進、社長交代の時期はあなたの会社に合ったものを

何事もまずは計画を立てることから始まります。これは事業承継であっても変わらないのですね。

必要に応じて専門家のサポートを受けながら、あなたも事業承継計画の作成に今すぐ着手しましょう。

 

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