キャッシュフロー改善の具体的方策6選とやってはいけない方策3選

経営者の皆さんがお持ちの経営課題は多岐にわたりますが、その中でも直接的な課題として挙げられるのが、キャッシュフローの改善です。

しかし、キャッシュフローの改善についてその必要性を見聞きしても、今ひとつピンとこない方、実際に改善に取り組むとしても何をすれば良いのか分からないという方がいらっしゃいます。

必要性は理解していてもその理由や具体的な方法などについて「分かったようで分からない」ということもあるかと思います。

そこで今回は、キャッシュフローを改善することがいかに重要かという必要性と、具体的な方法について解説します。

1.キャッシュフロー改善がとても重要な理由

キャッシュフローの健全性は企業経営に欠かせないと言われても、現在の経営に特段の問題を感じないのであれば、その重要性を認識しづらいと思います。

しかし、そうではなくなった時にリスクが一気に顕在化すると経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。そうなることがないよう、キャッシュフローの改善を常に意識しておく必要性について解説します。

1-1.キャッシュは企業の血液である

人間にとって血液は、生命を維持するために欠かせないものです。「出血多量」という死因があることからも、血液を失うと人間はわずかな時間も生きてはいられないことが分かります。

企業にとってのキャッシュには、これと全く同じ役割があります。

キャッシュフローとはキャッシュ(現金)のフロー(流れ)を意味していますが、血液と同じように企業にはキャッシュフローがないと何も支払うことができず、倒産してしまいます。

後述していきますが、帳簿上の売上や利益がどれだけあっても、キャッシュフローがなければ意味がなくありません。

「キャッシュフローの改善」とは手元にいかにキャッシュを置いておくことができるか、そんな経営環境を作ることができるかというお話なのです。

1-2.赤字でもキャッシュフローが健全であれば倒産しない

普通に考えると赤字になると企業の経営は傾き、やがて倒産することになります。

しかし、十分なキャッシュフローがある場合は支払いや返済などが滞ることがないため、それが続いているうちは倒産することはありません。

資金調達に成功し、キャッシュが潤沢な企業のことをキャッシュリッチ企業といいます。キャッシュリッチ企業は仮に赤字決算であっても当面の破綻リスクが低いと判断されるため、上場している場合は株価の上昇要因になります。

これはつまり、投資家も企業経営におけるキャッシュフローの重要性を認識しているということです。

1-3.何としても避けたい黒字倒産

赤字であってもキャッシュフローが健全であれば倒産しないということは、その逆もあります。その逆とは、黒字倒産です。

黒字なのになぜ倒産するのかというと、掛取引において顧客からの入金前に多くの支払いが来て、それが支払えなかった時に資金ショートが起きてしまうからです。

黒字だということは、その企業のビジネスモデルは正常に機能しているはずです。それなのにキャッシュ不足によって黒字倒産をしてしまうのは、赤字倒産よりも悔いを残すことになるでしょう。

黒字企業こそキャッシュフローの重要性をしっかりと認識し、その改善に努める必要があるのです。

1-4.特にスタートアップ企業はキャッシュフローの改善を意識するべき

起業したばかりの時期、いわゆるスタートアップ企業こそキャッシュフローを強く意識するべきであると言われています。

それは、まだ財務基盤が安定しておらずビジネスモデルが盤石であるとは言えない時期なので、せっかくの成長軌道をキャッシュ不足が足を引っ張ってしまう恐れがあるからです。

さらに、経営基盤が脆弱な時期にキャッシュ不足に見舞われてしまうと倒産リスクがとても高くなってしまうため、スタートアップ企業は一層キャッシュフローの改善を意識する必要があると認識しておいてください。

2.キャッシュフローを改善するための具体的な方策6選

それでは、具体的にキャッシュフローを改善するにはどのような方策があるのでしょうか。有効な方策を6連発として順に解説します。

2-1.営業利益をしっかりと出す

言うまでもないことですが、利益が出ていなければ入金もないので、キャッシュフローの改善は見込めません。

利益を出すには、以下の3つの方法があります。

  1. 売上を伸ばす
  2. 仕入れ原価を抑えて利益を大きくする
  3. 販売管理費を抑えて利益を大きくする

この3つの方法は独立したものではなく、3つ同時に取り組むことによってバランスの良い利益構造を構築することができます。

利益の確保はキャッシュフロー改善において基本中の基本なので、盤石な利益構造を目指しましょう。

2-2.非現金の売上を減らす

売上の中に占める非現金部分、つまり売掛金を減らす努力をすることにより、キャッシュフローは改善します。

ここで重要なのは、売掛金を減らすといっても売上を減らすという意味ではないことです。売上をしっかり確保しつつ、その中で売掛金を減らしていくことで自ずとキャッシュが増えます。

2-3.不用意に在庫を増やさないようにする

在庫を仕入れるに企業はキャッシュを支払います。つまり、必要以上の在庫を抱えるということはキャッシュ以外の形で資産を保有することになるので、キャッシュフロー改善の妨げになります。

ちなみにここでいう在庫とは棚卸資産のことで、商品の在庫だけでなく材料や原料、半製品などまだ商品になっていないものも含まれます。

2-4.収益性の低い固定資産は処分して身軽にしておく

仕入れとは本来、売上を作るためのものです。収益性の低い固定資産を所有している場合、それはキャッシュの獲得にはつながらず、キャッシュフローの改善にも妨げとなります。

収益性の低い固定資産、例えば不動産などを所有している場合は売却して身軽にしておくことがキャッシュフローの改善につながります。

2-5.回収サイクルの見直し、健全化

キャッシュの源泉は顧客からの支払いです。そのため回収サイクルはキャッシュフローの健全性に大きな意味を持ちます。

回収サイクルはその企業の信用力にも直結するため、創業時など信用力がまだ高くない場合は支払いサイトが1ヶ月後、2ヶ月といったように先になってしまいがちです。

しかし、企業としての信用力がついてきたのであれば、回収サイクルを見直して早期にキャッシュになるよう有利な条件への見直しをしていく必要があります。

理想的なのは前払いや一括払いですが、それが難しい場合であっても、あまりにも長い支払いサイトは見直して少なくとも翌月払いなど近い期日での回収にシフトしていきましょう。

2-6.支払いは後払いを優先する

先ほどの早期回収とは真逆の思考として、支払いをできるだけ後に延ばすこともキャッシュフローの改善に有効です。

早期回収と同様に創業時は信用力が低いために後払いなど支払いサイトを後に延ばすのは難しいかもしれませんが、やがて信用力がついてきたと感じられる段階になったら検討するべき方策です。

ここでひとつのアイディアとして有効なのが、クレジットカードの活用です。

法人用のクレジットカードを使って支払いをすると最短でも支払いは翌月になり、場合によっては翌々月にまで延ばすことも可能です。

法人カードは決済額が大きくなりやすく、それゆえに特典やサービスなども期待できるので、二次的なメリットも含めておすすめです。

3.リスクに注意が必要なキャッシュ調達法

前章で解説したキャッシュフロー改善の方策は、いずれも経営の構造的な問題を改めることによって結果が期待されるものばかりです。

次に、ここではさらに緊急性が高い場合のキャッシュ調達法を3つ解説します。ただし、これらはいずれもコストやリスクを伴うので、あくまでも緊急性が高い場合のみ検討できるものです。

3-1.税金の延納

納税によるキャッシュアウトで資金繰りが苦しくなると判断される場合は、納税をストップしたいと考えることでしょう。

だからといって税金を滞納してしまうと滞納税などのペナルティを受ける恐れがあるだけでなく、取引先からの信用を失うこと、金融機関からの融資が受けられなくなるなど不利益がとても多いので、避けるべきです。

そこで考えられるのが、税金の滞納ではなく「延納」です。所得税のみに適用できる制度で、当初の納付期限までに半分以上の納税ができることが条件になりますが、それでも残り半分については合法的に先延ばしにすることができます。

ただし延納は年利1.8%の利子税が加算されるため最終的な総額は大きくなりますが、滞納税の14.6%と比べるとはるかに低率です。

3-2.ファクタリング

まだ現金になっていない売掛金や手形などを現金化するサービスのことを、ファクタリングといいます

支払いサイトの関係でキャッシュになるまで時間がある債権を早期に現金化できるため、資金ショートを防ぐのに有効です。

ただし、ファクタリングについても専門の業者に支払う費用があるので、結果として手残りのキャッシュは減ってしまいます。

急場をしのぐためには有効な手段といえますが、毎月のようにファクタリングに依存するような資金繰りはおすすめできません。

3-3.融通手形

商品や材料などの仕入れ代金として手形を振り出すのは自然な形ですが、商取引のためではなく資金調達のために手形を振り出すことを、融通手形といいます。

融通手形は手形本来の使い方ではなく、「禁断の資金調達法」です。融通手形を振り出したことが取引先に知られると危ない会社であるという噂が流れますし、それ以前に融通手形だと分かっているものを受け取ってはくれません。

融通手形を前提にした資金繰りに慣れてしまうと、あたかも自分で現金を発行できるかのような錯覚に陥ってしまうことがあります。

しばしば融通手形が麻薬のようなものと評されるのは、これが理由です。

いくら融通手形で急場をしのいだとしても、その手形の期日が来たら支払わなければならないことに変わりはなく、結局キャッシュフローの改善には全く寄与しません。

4.まとめ

中小企業経営者の皆さんに向けて、キャッシュフローを改善する意義や必要性、そしてそのための具体的な方法を解説しました。

実際にやってみるのにあたって、それほど難しいことは含まれていないと思います。それだけで経営の健全性を大いに高めることができるので、まずはできることからやってみるスタンスで検討してみてはいかがでしょうか。

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