会社の状態別の対処法を紹介!跡継ぎのいない会社を次の時代へつなぐ

「会社の跡継ぎがいないのだけど、どうするべきなんだろう?」

「跡継ぎがいない場合、M&Aやマッチングサービスの利用が選択肢に入るのか…不安だ…」

日本における後継者不足の問題は深刻であり、帝国データバンク「2017年 後継者問題に関する企業の実態調査」によると全業種平均として66.5%の企業が後継者不在の状態となっています。

しかし跡継ぎがいないといっても、具体的な状況は会社により異なります。

そのため個々の会社に適した対処法をとる必要があるのです。今回の記事では、会社の跡継ぎの問題についてパターン分けをした上で、それぞれの場合における対処法を紹介させていただきます。

跡継ぎを見つけることができたとしても、そこから数年間は後継者の育成をしなければならないケースも多いため、跡継ぎの問題についてはなるべく早く対処していくことが求められるのですね。

この記事があなたの会社の跡継ぎ問題を考えるきっかけになると幸いです。

跡継ぎがいないケースのパターン分けをしてみよう

はじめに跡継ぎがいないケースをパターン分けしてみましょう。記事の全文にも書かせていただいたとおり、跡継ぎがいないといっても様々なパターンがあるのですね。

それでは以下の図をご覧ください。

多くの中小企業では、やはり子供や親族から跡継ぎを探す親族内承継が第一の選択肢となるでしょう。そして、親族内承継ができなかった場合、第二の選択肢として社員や役員から跡継ぎを探すことになるはずです。

昨今話題のM&Aやマッチングサービスの利用は親族内承継と親族外承継ができなかった場合の最後の手段としての側面が強いと感じます。

そして親族・親族以外の社員もしくは役員から跡継ぎを探す場合、候補となる人物はいても以下のような2つのパターンでは実質的に跡継ぎがいないことになります。

  1. 後継者候補に承継の意思がない場合
  2. 現経営者から見て、後継者候補に経営の素質がないと考える場合

ただし上記2つのパターンについては、候補となり得る人物自体はいるので、あなたの工夫で跡継ぎとして相応しい人物にすることができる可能性もあります。

そこで、まずは上記2つのパターンにおける対処法について解説させていただきますね。

後継者候補に承継の意思がない場合の対処法

それでは先ほど紹介させていただいたパターンの1つ目「後継者候補に承継の意思がない場合」の対処法について解説させていただきます。

昔は親の会社を子供が継ぐというのが一般的でしたが、昨今は状況が変わってきているのですね。では、なぜ子供は親の会社を継ぎたくないと考えているのでしょうか?

後継者が会社を継ぎたくないと考える理由

子供が親の会社を継ぎたくないと考える理由については、ニッセイ基礎研究所「働く人の就業実態・就業意識に関する調査(2004年)」をまとめた以下のグラフを確認してみてください。

引用:ニッセイ基礎研究所「働く人の就業実態・就業意識に関する調査(2004年)」

グラフから読み取ることのできる上位3つの理由は以下のとおりです。

  • 親の事業に将来性・魅力がないから
  • 自分には経営していく能力・資質がないから
  • 今の仕事・企業等が好きだから

つまり親の会社を継ぎたくないと考えている子供ごとに適した対処をすることで、子供の考えを変えることができるかもしれないのです。以下では、上位3つの理由それぞれについての対処法を紹介させていただきます。

「親の事業に将来性・魅力がない」と考えている場合

この場合は、子供に事業と会社の魅力を伝える努力をするのが効果的ではないでしょうか。特にニッチな事業を行っているような場合、会社の外から見ていても事業の魅力はわからないものです。

その結果、子供は知識が浅いままあなたの会社を退屈なものと判断してしまうのですね。

そのため会社の戦略も含めて子供に伝え、その中で将来性と魅力を正しく伝えていきましょう。また事業のみならず、経営という仕事の魅力を伝えるのも効果的です。

まずは子供とよく会社について話し合う時間を設けることが重要なのです。

「自分には経営していく能力・資質がない」と考えている場合

続いて、子供自身が「自分には経営していく能力がない」と考えている場合の対処法です。この場合、問題となるのは子供は実際に経営に携わった経験がないという点になります。

つまり経営が具体的にどのような仕事で、どのような素質・能力を求められるものか、子供が正確に把握できていない恐れがあるのです。

もちろん、これは仕方のないことでもあります。経営を続けることの難しさとやり甲斐は、実際に会社を経営してみなければわからないものですよね。

そのため、このような場合においては、あなたから子供に対して積極的に経営に必要な能力を伝えていきましょう。

経営者といえども完璧な人間ではありません。むしろ極端に真面目で完璧主義よりは、どんと構える度胸とおおらかさこそ経営者に重要であると、私は考えております。

子供が考える「経営者」が本当に正しいのか、足りない知識をあなたが補ってあげてみてはいかがでしょうか。

「今の仕事・企業等が好きだ」と考えている場合

最後に紹介させていただくのは子供が「今の仕事・企業等が好き」と考えている場合です。こういった理由から会社を継ぎたくないと考えている子供の考えを変えるのは非常に難しくなります。

ただし、こうした場合であっても、子供があなたの会社についての誤解や知識不足を有することから、比較する形で今の仕事や企業等を好きと考えていることがあります。

そのため会社・事業・経営について正しい知識を伝えることで、子供の考えを変えることにつながる可能性があります。

後継者候補に経営の素質がないと考える場合

次にパターンの2つ目「後継者候補に経営の素質がないと考える場合」の対処法について解説させていただきます。

こちらの場合は、後継者の候補になり得る人物はおり、本人も会社を継ぐことに前向きではある点に特徴があります。しかし、あなたから見て「経営の素質がないのでは…」と思ってしまうのですね。

しかし経営の素質といっても簡単に定義づけることはできません。あなたがこれまで出会った経営者の中には「え?こんな性格で経営できてるの?」と思ってしまうような人物もいたのではないでしょうか?

私も「理想の経営者像」などにとらわれる必要はなく、それぞれの人物に適した経営を模索していくべきと考えているのですが、業務の中で必要となるポテンシャルもあるはずです。

以下では私の考える経営者に重要な4つのポテンシャルを紹介させていただきます。

経営者のポテンシャルとなる4つの要素

完璧主義ではない

これは私が経営を通して学んだことですが、経営者にとって完璧主義はときにデメリットになると感じます。

もちろん目の前の仕事をぬかりなく完璧にこなすことに大きな価値はあるのですが、経営をしていると予期できない事態が起こるので、あまりに完璧主義だと心の負担に潰される恐れが高まるのではないでしょうか。

むしろ過度に完璧主義であるよりは、「足りない分をそれでよし」とできた方がストレスや不安が軽減されて、長期的にみて経営のパフォーマンスは高まると考えています。

責任を背負い込み過ぎない

完璧主義ではないことと近しいですが、過度に責任を背負い込まないことも経営者には大切であると考えます。特に顕在化していないリスクに対して過剰に不安を感じてしまうと、柔軟かつ迅速な経営ができなくなります。

経営者は会社を通して、そこにいる社員の方の人生をも背負っていると考えてしまいがちですが、そこにとらわれすぎると経営のパフォーマンスは低下するのではないでしょうか。

リスクをコントロールすることは重要ですが、過剰に反応せず顕在化したときに柔軟に対応していけば良いのです。

相手の立場になって考えることができる

相手の立場になって考えることのできるポテンシャルは、取引先・顧客との関係においても社員との関係においても非常に重要です。経営者は会社のリーダーですが、独裁者ではありません。

そして、相手の立場で物事を考え、それを経営に取り込むことができれば取引先も顧客も社員も失わずに済む可能性が高くなります。

相手の立場になることは時に決断力の弱さに結び付きます。そのため、あなたが「この人物は決断ができない」と考えている相手も、決断のコツを伝えることで素晴らしい経営者になるかもしれませんよ。

思考が柔軟

経営者には思考の柔軟性も大切です。先ほども申し上げたとおり予期できない事態は必ず起こるので、そういったときにこれまでの考え方に固執せずに柔軟に対応できると会社へのダメージを小さくすることができるのですね。

優柔不断と思考の柔軟性には紙一重の部分もあるので、跡継ぎ候補となる人物の特性をよく観察してみてはいかがでしょうか?あなたの一押しでマイナスと考えていた素質が、経営者としてのプラスの素質に変わるかもしれません。

外部招へいという選択肢

経営者としてのポテンシャルとなる4つの要素について解説させていただきましたが、いかがでしょうか?あなたの周りにそれらを有する人はいましたか?

仮に周囲に経営者に向いた人物がいない場合は、はじめの紹介したとおりM&Aやマッチングサービスを利用して跡継ぎを探していくこととなります。

しかしM&Aとマッチングサービスに進む前に「外部招へい」という選択肢も一応は存在します。

外部招へいとは、親族・社員・役員以外の第三者を新しく経営者として会社に迎え入れることです。M&Aやマッチングサービスとの違いは、後継者に株式を譲らない点にあります。

つまり大企業にあるような「雇われ経営者」になってもらうのです。

ただしこういった外部招へいは中小企業においては現実的ではないのも事実です。そのため無理に外部招へいにこだわらず、株式も含めて譲渡することを前提としたM&Aとマッチングサービスを視野に入れるべきでしょう。

跡継ぎがいない場合の対処法

このように跡継ぎに承継意思や経営の素質がない場合は対処していきますが、それでも跡継ぎがいない、もしくは跡継ぎとなる人物自体がいない場合はM&Aやマッチングサービスを使って対処していくこととなります。

ここではM&Aとマッチングサービス―ビスについて解説させていただきます。

M&Aという選択肢

M&Aは主に株式譲渡を使って、会社を後継者に譲る手法となります。株式ごと会社を譲ってしまうので、次の経営者は新しい株主が決めるのが一般的です。

そのため現経営者が高齢な場合であり、かつ跡継ぎがいない場合の事業承継によく使われる手法となっています。

昨今は後継者不足の問題が深刻かしており、それに伴ってM&Aがよく使われるようになっているようです。

M&Aの大きな特徴は、跡継ぎをあなたの知らない人物まで含めて広く探すことができる点です。しかしながら、広く探すことができるからこそ跡継ぎ選びには細心の注意が必要となりますね。

あなたの会社と社員を託す人物を探すことになるので、時間をかけてゆっくりと相性の良い信頼できる人物を探していくべきでしょう。

このように相手探しの難しさこそありますが、そこをクリアすることができればあなたの会社をより大きく発展させることも夢ではありませんよ。

マッチングサービスの利用という選択肢

M&Aと並行して跡継ぎがいない場合の対処法となってきているのが、マッチングサービスの利用です。

マッチングサービスはインターネットの上で会社の経営者と跡継ぎを結び付けるものです。文字通りの「マッチング」をイメージしていただけるとわかりやすいでしょう。

マッチングで会社を売るというと、抵抗が強いかもしれませんが小規模の会社であれば手数料が安く済むためM&Aとの差別化ができている印象です。

まだまだマッチングサービス自体が作られ始めたばかりなので、今後どうなっていくか見通しの立てにくいところはありますが、相手探しの手段としては面白いでしょう。

会社の状況を事業承継コンサルタントに相談してみよう

このように跡継ぎがいない場合は、候補となる人物を説得することも含めて様々な対処法をとっていかなければ会社を次の時代に残すことができなくなります。

それは社員の方の働き場をなくすことにもなるため、可能な限りの対処を行うべきではないでしょうか。

しかし具体的な対処法は、あなたの会社の状態により異なってくるため、迷いが生じて身動きがとれない場合は事業承継コンサルタントに相談してみるのも一つの手段となります。

コンサルタントに相談するメリット

事業承継コンサルタントに相談するメリットには以下のものがあります。

  • 会社の状態を客観視できる
  • あなたの会社に近い承継例についての情報を得やすい
  • 事業承継に関するノウハウを得やすい
  • 専門的な知識が必要な部分を補うことができる

事業承継の方法は大きく分けるだけでも以下の3つとなります。

  • 親族内承継
  • 親族外承継
  • M&Aとマッチングサービス

そして3つの方法はどれも注意すべきポイントが異なるため、全てをあなた自身で学ぼうとすると時間が足りなくなってしまう恐れがあるのですね。

そのため専門的な知識を効率的に得るためにも事業承継コンサルタントの利用は理にかなっているといえるのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか?今回の記事では跡継ぎがいない状態への対象法について解説させていただきました。

跡継ぎがいないといっても、会社ごとに状況は異なるため、あなたの会社に合った対処法で状況を打開していく必要がありますね。

跡継ぎとなり得る人物がいる場合は、承継意思の有無および経営者としての素質の有無に注目して、あなたの会社・事業・経営の魅力を伝えていってください。

それでも跡継ぎがいない場合はM&Aとマッチングサービスの利用を考えていく必要がありますね。

また跡継ぎについての対処法に困っている場合は、事業承継コンサルタントを利用するのもおすすめです。

コンサルタントに相談することで、あなたの会社を客観視することができるため事業承継をするに際して足りない部分や力を入れる部分が見えてくるのです。

事業承継は大掛かりなものとなる場合もあり、時間が必要になるので早いうちから対処法について考え始めてくださると嬉しいです。

合わせてこちらの記事も確認してください。

使用例あり!事業承継マニュアルの使い方と2つの注意点

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