【10分で網羅】これだけで決算書の読み方が分かるシンプル解説

決算書は、企業にとっての成績表のものであると見聞きされたことは多いと思いますが、さらに細かい部分になるとイマイチよく分からないという方は多いのではないでしょうか。中小企業経営者としてそれではマズいとお感じの方がまず知るべきことは、「決算書とは何か」という概念と、「決算書の読み方」です。

決算書についての詳しい知識を持つためには時間と労力を要しますが、当記事では経営者が決算書の読み方を理解するために最低限知っておくべき知識を、10分程度で網羅できるようにまとめました。

1.決算書の読み方が分からない方が、まず知っておくべき4つの基本

現時点で決算書の読み方が分からないという経営者の皆さんが、最初に知っておくべき基本事項を4項目に整理しました。「決算書ってなに?」というレベルからでもしっかり理解できる内容なので、ご安心ください。

1-1.決算書とは何か

最初に、そもそも決算書と呼ばれている書類とはどんな書類なのかについて押さえておきたいと思います。決算書とは、財務諸表のことです。財務諸表は一般的に、以下の3つの書類のことを指しています。

  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • キャッシュフロー計算書

これらの書類は会社が事業を行った結果、どれだけ利益が上がったのか、保有資産はどれだけあるのか、といったことを示すものです。時折混同されることがあるのですが、「決算書」という名前の書類があるわけではありません。

1-2.決算書は何のためのあるのか

決算書は文字通り会社の決算内容を示すものですが、これらの書類は会社にとっての成績表のようなものであるという認識は正解です。または、健康診断書のようなものであるという意見もありますが、どちらも意味合いは同じです。決算書の読み方が分かれば、その会社の健康状態や事業の優劣が読み取れるようになります。

新規に取引を検討している会社や、融資の申し込みを受けた金融機関などは、会社の信用状態を精査するために決算書をしっかりと精査しています。

1-3.決算書を構成する3つの書類

先ほど紹介した決算書を構成する財務諸表の3書類について、それぞれどんな書類なのかを簡単に解説しましょう。

1-3-1.貸借対照表

貸借対照表は、書類の左側と右側にそれぞれ記載されている資産と負債のバランスを見るための書類です。左側には「資産」が表示され、右側には「負債」と「純資産」が表示されています。貸借対照表が「対照表」と呼ばれているのは、この左右にある数字が常に一致してバランス状態になっているからです。

右側は負債や純資産などプラスの資産とマイナスの資産が表示され、それが別のものに代わると左側に計上されます。会社のお金を使って材料を仕入れたら右側の純資産から仕入れ分が差し引かれ、左側には材料として計上されるため、常に左右がバランスしていることになります。

このようにバランスをとっていることが大きな特徴の書類なので、貸借対照表はバランスシート(B/S)と呼ばれることもあります。

1-3-2.損益計算書

会社が事業を行った結果がどうなったのかを示すのが、損益計算書です。損益計算書に記載されるのは、利益と経費です。どれだけの経費を使って、そこからどれだけの利益を上げたのかが分かる書類です。その会社がしっかりと利益を出しているか、そして経費に対する利益率がどれだけあるのか(つまり収益力)が分かるため、その会社の事業についての実力を測ることができます。

1-3-3.キャッシュフロー計算書

キャッシュフローとは、その会社の資金状態を示す指標です。キャッシュは現金、フローは流れという意味なので、お金の流れを示すと考えると分かりやすいと思います。会社にとって現金は血液のようなものなので、いくら利益が出ていても入金が遅く資金の手当てが間に合わなければ資金ショートを起こしてしまい、重大な経営リスクになります。

キャッシュフロー計算書は、その会社の資金がどのような状態にあるのかを示しているため、経営の健全性やリスクを知るのに役立ちます。

1-4.決算書が使用される主な場面

次に、決算書がどんな時に使用されるのかについても解説しましょう。

1-4-1.確定申告

会社は法人税の課税対象となっていますが、法人税額を計算する根拠になるのが決算書です。つまり、会社は決算書を根拠に確定申告を行っています。

1-4-2.融資審査

会社法人が融資を申し込む際に、必要書類には決算書が含まれています。金融機関は融資をしても問題ないかどうかを審査するノウハウを持っているので、決算書の読み方に関してはプロと言って良いでしょう。

1-4-3.新規取引

これまで取引関係がない(口座がない)会社との取引を始める際、その取引先として適格かどうかを知る手段として、決算書が用いられることがあります。シンクタンクなどの信用情報を参照することもありますが、直接決算書の提出を求められることもあります。

2.決算書の3大書類の読み方

財務諸表である貸借対照表、損益計算書、そしてキャッシュフロー計算書のそれぞれについて読み方を解説します。あまり掘り下げず、どの部分を見るべきかを簡潔に解説したいと思います。

2-1.貸借対照表の読み方

貸借対照表の読み方として押さえておきたいポイントは、以下の点です。

  • お金をどのように調達したか
  • お金を使って何をしたか、何を買ったか

右側にお金の調達方法が記載され、左側にはそのお金を使って買ったもの、お金の状況が記載されます。これらを見ることにより、会社の資産と負債、純資産という3つのバランスが分かります。このバランスが良くないと資金の効率が悪くなっていたり、資金調達環境が悪くなっているといったように、経営環境の悪化を読み取ることができます。

2-2.損益計算書の読み方

事業そのものの損益に加えて、資金をどのように有効活用してそこから利益を上げているかが分かるのが、損益計算書です。経費に対してどれだけの利益を上げているのかが分かるので、その会社の収益力や、事業の有望性、優位性などを読み取ることができます。

損益計算書から多くのプロが読み取るのは、その会社の損益分岐点です。損益分岐点が適切であるためには、経費と利益の関係性が健全である必要があります。また、損益分岐点を知ることによって黒字であるのか、赤字であるのかも分かります。

2-3.キャッシュフロー計算書の読み方

損益計算書だけでは読み取れないことを読み取るためにあるのが、キャッシュフロー計算書です。事業の損益だけではお金の流れまでを知ることはできず、どれだけ黒字であっても入金がまだで資金が不足しているようだとリスク要因になりますが、損益計算書だけでそれを読み取ることはできないので、キャッシュフロー計算書が活用されます。

つまり、キャッシュフロー計算書から読み取るべきことは、その会社のお金の流れが健全であるか、適切であるかです。営業キャッシュフローと投資キャッシュフロー、そして財務キャッシュフローの3つで構成されており、この3つがどのような状態にあるかで経営の健全性、安全性が分かります。

3.決算書が読めると分かる3つのこと

次は、決算書の読み方が理解できると分かるようになる3つのことについて、解説します。

3-1.経営の健全性、安全性

新規取引や融資審査の際に重視されるのは、その会社の経営が健全であるか、取引をして安全な会社であるかどうかです。そこで重視したいのが、「流動比率」と「当座比率」です。それぞれ、計算式は以下の通りです。

流動資産 ÷ 流動負債 × 100 = 流動比率(%)

当座資産 ÷ 流動負債 × 100 = 当座比率(%)

流動比率が100%を上回っているということは、流動負債よりも流動資産があることになるため、財務状態は健全であると判断できます。

もうひとつの当座比率についても100%を上回っていると安全と判断できますが、経営分析の世界では150%以上あるのが理想的であるとされています。

3-2.企業の収益性

会社の収益性を知るには、「売上高総利益率」と「売上高営業利益率」、そして「売上高経常利益率」が用いられます。まず、売上高総利益率の計算式は以下の通りです。

売上総利益 ÷ 売上高 × 100 = 売上高総利益率(%)

売上高総利益率が高いということは、その会社の製品やサービスの付加価値が高いことを示しています。つまり、収益性が高いということです。業種によって理想値にばらつきがあるため、同業他社と比較して高いかどうかで収益性の高さを知ることができます。

次に売上高営業利益率の計算式は、以下の通りです。

営業利益 ÷ 売上高 × 100 = 売上高営業利益率(%)

営業活動によってどれだけ収益が上がっているかを示す数値なので、この数値が高いということは「稼ぐ力」が強いことを意味します。1~3%程度が基準となり、これを上回っていると収益性が高いことが分かります。

3つ目の売上高経常利益率については、以下の計算式で求められます。

経常利益 ÷ 売上高 × 100 = 売上高経常利益率(%)

この売上高経常利益率で分かるのは、経営効率です。経営効率の高さも収益力に直結するため、この数値を求めることで会社が通常時に発揮できる収益力が分かります。

3-3.企業の成長力

3つ目の成長力についても、決算書から読み取ることができます。ここで指標となるのは、「売上高成長率」と「経常利益成長率」の2つです。それぞれ、計算式は以下の通りです。

売上高増加額 ÷ 基準とする年の売上高 × 100 = 売上高成長率(%)

経常利益の(当期 - 前期) ÷ 前期経常利益 × 100 = 経常利益成長率(%)

これらはいずれも基準となる年や前期などとの比較です。比較対象の売上高や経常利益と比較して、当期はどうであったのかを知ることで、その会社の成長率(つまり成長力)が分かります。

4.決算書の読み方がさらによく分かるおすすめ書籍3選

決算書の読み方についてさらに理解したい、本格的な知識を持ちたい方向けに、おすすめの書籍を3つご紹介します。

4-1.週刊ダイヤモンド 決算書100本ノック!

100本ノックという響きからスパルタ的な解説を想像してしまいますが、初心者向けにとても分かりやすく解説されている入門書です。価格的にもお値打ち感が大きいので、最もおすすめの一冊です。

週刊ダイヤモンド 2019年 8/24号 [雑誌] (最新!超楽チン理解 決算書100本ノック! 2019年版)

4-2. オールカラー “ギモン”から逆引き! 決算書の読み方

決算書を読み解く入門書として、ベストセラーになっている良書です。タイトルの通りオールカラーなのでとても見やすく、文章よりも表やグラフを多めに構成しているので、苦手な方でも最後まで苦痛なく読むことができます。

オールカラー “ギモン”から逆引き! 決算書の読み方

4-3. 会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方

クイズ形式になっているユニークな入門書です。クイズを解きながら会計用語が理解できて、決算書が読めるようになります。1回だけでなく何回もやることで、どんどん理解が深まります。

会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方

5.まとめ

決算書の読み方について、最低限知っておくべき知識をできるだけ簡単かつシンプルにまとめました。「決算書」という言葉を見ただけでアレルギー反応を起こしてしまうような方も少なくないと思いますが、この記事の知識をマスターしておくだけでも、決算書から多くのことが分かるようになります。この知識をもとに一度、御社の決算書をご覧になってみて、経営分析に役立ててください。

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