オリジナリティが光る経営理念の作り方4ステップと4つのコツ

経営理念の作り方でお悩みではありませんか?「経営理念は社長の考えを言葉にすれば良い」と言われても、それが難しいとお感じになる方は多いと思います。

実際に経営理念を作るとなると、社長の考えをただ言葉にするだけでは不完全ですし、社員やお客様など各方面の人たちに伝わり、響くものでなければ意味がありません。

そこで当記事では、経営理念の作り方を4つのステップに整理し、そのステップを踏んでいけば自然に経営理念を作ることができるよう、マニュアル化しました。

そもそも経営理念とは何なのかという基本情報に加えて、より良い経営理念の作り方を目指していただくためのコツも伝授します。

1.経営理念の作り方4ステップ

経営理念は、ここで解説する4つのステップを順に踏んでいくことで作成することができます。紙とペンをご用意の上、実際にやってみてください。

ひとつ注意していただきたいのは、変な先入観を持つことがないよう、この段階では他社の経営理念(特に大企業)は見ないようにしてください。

1-1.会社の未来、進むべき道を定める

経営理念が必要なのは、会社にはこれからも未来があるからです。その未来を良いものにするために経営理念を役立てるのが正しい位置づけなので、最初に考えるべきことは会社の未来や進むべき道です。

どうなるのが会社にとって最良なのか?と自問自答してみてください。

その時に重要なのが、「長い目」です。短期的な会社の未来ではなく、5年、10年、さらには数十年先といった中長期的な視野を持つことによって、経営理念は普遍的なものになります。

1-2.そのために足りないもの、強化するべきことを考える

会社の理想的な未来を実現するには、何か必要なものが浮かび上がってくるはずです。

マンパワーの充実や経営体質の強化、新しい分野へのチャレンジなど、理想的な未来に向けて課題となるものを言葉にするのも、経営理念の作り方として有効です。

今後の成長を期すのにあたって、最も必要とするものは何か?それをキーワードにして書き出してみてください。

1-3.必要なキーワードを書き出す

会社の未来、成長の道筋と、そのために必要なもの。

これらをキーワードとして思い付く限り書き出してみましょう。これらのキーワードを整理する方法については次章で解説するので、まずは初めの段階として頭の中にあるイメージを書き出すことが大切です。

思い付くままに書き出して構いませんが、その時に意識したいのは「長大な言葉」と「平易な言葉」です。

経営理念に使われている言葉にはこの両者が使われていることが多く、建前になってしまうのではないかと思うような言葉があっても構わないと思います。

1-4.重要度順に並べ、絞り込む

書き出したキーワードのすべてを経営理念に盛り込むことができれば理想ですが、思い付くままに書き出した状態だと思考が散らかっているでしょうし、中長期的に見て不要になりそうなキーワードも含まれていることでしょう。

4ステップ目にやるべきことは、言葉の順位付けと取捨選択です。ここで意識したいのは、以下の3点です。

  • 暗唱できるほど覚えやすいものであること
  • 共感できる言葉、イメージがわきやすい言葉であること
  • 抽象的になりすぎていないこと

この段階で、いくつかの案と言えるものができてきていると思います。これをそのまま使っても構いませんが、次章ではさらに経営理念のセオリーに当てはめていきたいと思います。

2.経営理念の基礎知識

ここでは、経営理念の作り方を学ぶ上で基礎となる知識について解説します。

先ほど思い付くままに書き出してみたキーワードと、ご自身で作ってみた経営理念の草案を踏まえつつ、次は経営理念のセオリーといえる知識をマスターしてください。

2-1.そもそも、経営理念とは何か

そもそも論になりますが、経営理念とは何なのでしょうか。

多くの人がさまざまな解説をしていますが、それらを総合すると、おおむね「創業者が事業に託した思い」「会社としての価値観」「存在理由」といった意味合いになります。これについてはすでにニュアンスをつかんでおられることと思います。

どんな企業にも創業者がいて、その創業者が事業に何らかの思いを持っています。ただ単に「お金が儲かるから」という理由だけならその事業でなくても良いわけですし、決して感心しないような商売で荒稼ぎをすることができるかもしれません。

そうではなく、今の事業を選択し、いわばその事業に人生を賭けているのですから、強い思いを持って事業に取り組んでいる人も少なくないでしょう。それを明文化したのが、経営理念です。

2-2.経営理念に盛り込むべき4つの要素

セオリーとなる経営理念の作り方には、4つの要素があります。その4つとは、Mission、Value、Way、そしてVisionです。

2-2-1.Mission(使命、存在意義)

会社が事業を行い、利益を得るということは、その事業に何らかの使命や存在意義があるはずです。そうでなければ社会から必要とされることはなく、対価が支払われることもないでしょう。

そこで、経営理念には会社が何のために存在し、何を使命として事業を行うのかを宣言する必要があります。

2-2-2.Value(信念、価値観)

2つ目に必要なのは、会社の信念や価値観です。1つ目に挙げた使命を果たすために何を大切にしていくのか、さまざまな要素のうち優先順位をどうするのかといったように、企業活動の価値観を定め、それを盛り込みます。

2-2-3.Way(行動指針、行動規範)

経営理念の作り方として3つ目に挙げたいのが、行動指針や行動規範です。Wayという言葉からも想像できるように、企業が持つ使命や価値観をどのように具現化していくのかといった方法論です。

いわゆる5W1Hの中ではHowに相当する部分です。

2-2-4.Vision(目指す姿、目標)

4つに盛り込みたいのが、経営理念を定めた結果、何を目指すのかというゴールの具体像です。前章で経営理念に会社の未来像を盛り込む必要があると述べました。

中長期的な視野で会社がどうなっているのが理想なのか、その姿を言葉にします。「100億円企業を目指す」といったように実数が入っていても良いですし、「日本一」といったように少々抽象的なものでも良いと思います。

3.経営理念があるメリット3つ

経営理念に関する基礎知識として、ここでは経営理念が定まっていることで得られる3つのメリットをご紹介します。

3-1.企業価値の向上

その企業が何を考えているのか、どこを目指しているのかを経営理念で明文化することにより、企業の発信力が高まります。

経営理念は企業のブランドイメージにも関わるため、的確かつ人の心に訴えかけるような経営理念があることは企業価値の向上につながります。

3-2.新卒採用への効果

新卒の採用活動では、社会人経験があまりない学生たちが相手です。学生にとって企業の価値を判断する材料は少なく、その中では経営理念のウェイトは自ずと高くなります。

経営理念に共感できる学生を採用することができれば齟齬も少なく、モチベーションの高い人材を獲得できる可能性が高くなります。

3-3.優秀な社員の離職防止

採用活動へのメリットの延長線上にあるのが、優秀な社員の離職防止効果です。

優秀な人、頭の切れる人ほど仕事に対して意義やお金以外の価値を求める傾向があるので、経営理念が明確になっていることと、その理念通りの企業活動になっていることは、優秀な人ほど共感を得やすくなります。

3-4.経営理念のないと会社はどうなるのか?

経営理念を明文化するメリットを3つご紹介しましたが、それでは経営理念がない会社というのは、どうなってしまうのでしょうか。

経営理念なんてあってもなくても同じと思われている方ほど、この「なかった場合」を知っていただきたいと思います。

①収益力に大きな差が出る

経営理念などのコンセプトは売り上げや利益に直結するものではないとお考えの方は多いかもしれませんが、実はそうではありません。

ジム・コリンズというアメリカのビジネスコンサルタントは、有名な著書「ビジョナリーカンパニー」シリーズにおいて、経営理念がある会社とない会社を比較したところ、なんと収益力に6.7倍もの差が見られたと述べています。

②社員が迷う

社員は会社の命令で動いてくれる人たちですが、その命令にどんな理由や目的があるのかが明確になっていないままだと、それぞれの社員が異なる解釈をする可能性があります。つまり、迷います。

迷いが生じると、その分経営資源を無駄にしてしまいかねないので、経営理念がないことによる弊害のひとつです。

③採用活動への弊害、離職率の上昇

先ほど述べたメリットの裏返しです。社員は人であり、人は心を持ち自分の考えを持っています。経営理念はそんな人の心に語り掛ける大切な言葉なので、それがないと会社全体の統一感がなくなり、目指すべきゴールがあいまいになってしまいます。

その結果として採用活動への弊害が生じたり、社員(特に優秀な社員)の離職につながってしまいます。

4.経営理念の作り方で知っておきたいコツ4選

経営理念の作り方として、最後にちょっとしたコツを4つ伝授したいと思います。自分で作ってみたものの、どうもしっくりこない、もっと効率良く作りたいとお感じの方は、ぜひ参考にしてください。

4-1.他社の経営理念を参考にしてみる

多くの企業はすでに経営理念を持っており、それを対外的に公開しています。主要な企業の名前と経営理念というキーワードで検索すると、膨大な数の経営理念を見つけることができると思います。

それぞれの企業が大切にしている言葉ばかりなので、個性や主張もしっかり盛り込まれているお手本ばかりです。

特に歴史の長い大企業やIT企業などは印象的な経営理念を発信しているので、参考になるかもしれません。

ただし、当記事では最初に「見ないように」とお伝えしたように、全く白紙の状態から他社の経営理念を見てしまうと先入観ができてしまうため、他社の「作品」はある程度自社の経営理念について骨格ができてからのほうが良いと思います。

4-2.経営理念を形骸化させないために必要なもの

かつてサラリーマンとして会社にお勤めの経験をお持ちの方で、勤務先の経営理念を正確に覚えていて暗唱できるという方は、どれだけおられるでしょうか。

経営者にとって経営理念はとても重要であっても、社員にとってはどことなく建前であって「朝礼の時に唱和するもの」という程度の認識でしかないこともあります。

こうした状態を放置すると、やがて経営理念は単なるキャッチコピーのようになってしまい、形骸化します。

そこで試されるのが、経営者の本音と本気度です。経営理念に込めた思いがどれだけ本音であって、それをどれだけ本気で伝えようとしているのか。経営理念の形で言葉を投げかけられた人は、無意識にそれを見極めます。

他社の経営理念を最初に見ないほうが良いとお伝えしているのも、形にこだわってしまって本音や本気度の優先順位が下がってしまうのを防ぐためです。

4-3.実行できるものであるかチェックする

経営理念に込められた会社の目指す姿は、現実味のあるものでなければなりません。

例えば町工場が「世界一の企業を目指す」という理念を掲げたとして、それが技術力や提案力といったスキルに関するものであれば現実味がありますが、世界一のスケールを目指すとなると話は別です。

会社の実力や規模、身の丈に合ったものであることは、社員の共感を得るために重要なポイントです。

4-4.自分に嘘をつかないこと

最後にこちらもとても重要なポイントとして、嘘は禁止です。すでにある経営理念の真似をしようとしたり、受けが良さそうな言葉を使いたいと思うあまりに、経営者が自分に嘘をついてしまうと経営理念そのものが意味を成さなくなります。

これもやはり先入観の弊害なので、できるだけ自分の言葉、嘘のない言葉で経営理念を組み立ててください。

5.まとめ

会社にとっての憲法、コンセプトといえる経営理念は、キャッチコピーではありません。会社のあるべき姿や未来、そして創業の思いなどを内外に伝える大切な言葉です。

自分の言葉を思い付くままに書き出し、それを並べ、絞り込むことで自社にしか当てはまらないようなオリジナリティあふれる経営理念の作成にお役立てください。

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