自社の強みを知ることで得られる多くのメリットと具体的な方法

中小企業にとって、自社の強みは会社の命運を握っているといっても過言ではないほど重要なものです。強みがなければ競合他社との差別化ができませんし、差別化ができてなければ生き残っていくことも難しくなるでしょう。

では、今ある自社の強みとは何か?

この問いに即答できる経営者がどれだけいるのかというと、実はそれほど多くはないと思います。なぜなら、自社の強みを知ることは「己を知る」ことであり、実は決して簡単ではないのです。日々の業務を通じて発揮されているものの、それが当たり前になってしまっていて、改めて言葉にするとなると難しいとお感じの方は多いのではないでしょうか。

そこで当記事では、自社の強みを知ることの重要性と、それを知るための方法、そして具体的な売り上げにつなげていく道筋を解説したいと思います。

1.自社の強みを知る重要性

人間が自分のことを正確に評価することが、人間関係や成長のためにいかに重要であるかは、イメージしやすいと思います。企業にもそれと同じことが言えるわけですが、最初にその理由を解説します。

1-1.「強み」が売り上げを作る

企業が売り上げを生み出しているのは、何らかの強みがあるからです。何か商品やサービスなどが差別化されており、それがあるからこそお客さんに選ばれ、売り上げとなります。

コンビニエンスストアの例で考えてみましょう。同じように大手チェーンの看板がついているお店なのに、繁盛しているところと閉店してしまうところがあります。同じ大手チェーンであれば、売っているモノやサービスは全く同じであるはずなので、違うのは立地条件だけです。つまり繁盛しているコンビニエンスストアには立地という強みがあり、その強みがなければ生き残れないのです。

これはどんな業種にも言えることで、強みのない企業が生き残ることはできません。自社の強みだと思っていないようなことであっても、市場から評価され、選ばれていることは、客観的に見てそれは強みなのです。

1-2.中小企業は「ランチェスターの戦略」に学ぼう

ランチェスターの戦略をご存じでしょうか。強者と弱者それぞれにはふさわしい戦略があり、その戦略通りに行動すれば勝つことができるというものです。このランチェスターの戦略で注目したいのが、弱者の法則です。

中小企業のことを弱者と表現するのは語弊があるかもしれませんが、知名度やスケールメリットなど強大な力を持つ大企業と同じ市場で勝っていくためには、弱者の法則に学ぶのが最も現実的です。

ランチェスターの戦略には多くの項目があるのですが、最も重要なのは「勝てるフィールドでのみ戦う」ことです。総合力で大企業に勝つことは困難ですが、優位性を持つ特定の分野を持ち、その分野だけで戦えば勝つことができるというわけです。この特定の分野で戦える力とはつまり、自社の強みです。

1-3.ほとんどの企業で「自社の強み」が間違っている現実

アメリカの著名な経営学者であるドラッカーは、自身の著書「プロフェッショナルの条件」の中で、誰もが自社の強みだと思っているものは、たいてい間違っている(要約)と述べています。この理由としてドラッカーは、自社の強みは何かという漠然とした問いに対する答えとして多くの経営者は主観的に判断するからだと説いています。

主観的に感じていることのすべてが間違いであるとは言いませんが、正確である証拠がない以上、微妙な認識のズレや本人の願望が入ってしまっている可能性は大いにあるでしょう。

1-4.自社の強みを客観的に知ることから始めよう

ドラッカーの言葉は、まさに己を知ることの難しさを企業経営にも当てはめていると言えるでしょう。では、どうするべきか?そこで重要になるのが、客観的な視点によって自社の強みを知ることです。

この「客観的に」という言葉には、他者からの視点だけでなく、分析結果などのエヴィデンスも含まれます。それでは次章では、客観的な視点によって自社の強みを知る方法について解説していきましょう。

2.自社の強みを知る方法

主観的な視点、願望が含まれた思考による「自称・自社の強み」ではなく、客観的な視点による精度の高い「自社の強み」を知る方法について解説します。

2-1.お客さんから教えてもらう

自社に関わる当事者の中で、最も客観的な視点を持っているのは、文字通りお客さん、得意先など顧客となる人たちです。こうした人たちが自社を選んでくれていることには、必ず理由があります。それはおそらく、自社の強みを知る上での重要なヒントであるはずです。そこで、最も確実な方法として、自社の強みをお客さんに教えてもらう方法を考えてみましょう。

具体的には、アンケートや営業現場でのヒアリングなどの方法をとることになります。中にはポジティブな声ばかりではなく、お叱りの声も含まれてくることと思いますが、それも克服することができれば自社の強みに転じることもできるので、いずれにしても有益な情報の宝庫となります。

2-2.業界の平均値からの乖離を知る

次に重視したいのは、業界の平均値です。業界の平均値をベンチマークとして、自社がそれを上回っているのであれば、その分が自社の強みであると考えることができます。以下のような点について同業他社を含めた平均値と比較すると、自社の強みが見えてきます。

  • 同一水準の商品と比較した価格
  • 同一水準の商品と比較した性能、品質
  • 特定の商品におけるシェア
  • 顧客満足度

逆に、これらの要素において業界の平均値より低い分野については他社が強みを発揮しており、将来的にその分野で事業を続けていく価値が低くなっていく可能性が高くなります。

2-3.SWOT分析

自社の強みだけでなく、弱みなどを客観的に分析する手法として有名なのが、SWOT分析です。このSWOTとは、以下の頭文字を並べたものです。

S = Strength(強み)

W = Weakness(弱み)

O = Opportunity(機会)

T = Threat(脅威)

これだけを見ても、自社のことを客観的に評価できる手法であることを想像していただけると思います。この4つの要素は、以下のようなマトリックスに並べます。

プラス要因 マイナス要因
内部環境 S(強み) W(弱み)
外部環境 O(機会) T(脅威)

例えば、内部環境のプラス要因のところにS(強み)があります。内部環境の中でプラス要因だと思えるものを列挙していくと、そこに自然に自社の強みが書き出されるという具合です。

SWOT分析を成功させるためには、できるだけ視野を広くするためにたくさんの人に記入してもらうことが重要です。経営者1人だけが行ったとしても、それだと主観的な視点が強くなってしまうからです。さまざまな業務を担当している社員に記入してもらい、それぞれの視点からのSWOTが出揃うことで分析の精度が高くなります。

3.自社の強みをどう売り上げにつなげていくか

さまざまな手法によって導き出された自社の強みを、どうすれば経営にいかすことができるのでしょうか。経営にいかす=売り上げにつなげるという最も直接的な目的を達成するための活用術について解説します。

3-1.その強みは、必要とされているか? 

企業は、市場から売り上げを得ています。つまり市場から必要とされ、選ばれることが売り上げにつながり、それが拡大することにより企業は成長します。そこで持つべきなのが、自社の強みが市場から必要とされているのか、今後も必要とされるのか、という視点です。

これは、マーケティングに含まれる作業です。自社の強みだと思っていることが本当に必要とされているのかという視点を持つことで、より顧客目線を考慮した強みへと進化させることができます。独りよがりでは売り上げにつながらないので、常に客観的な視点を意識しましょう。

3-2.経営の選択と集中

先ほどご紹介したランチェスターの戦略では、自社が強みを発揮できる分野だけで勝負するべきであると解説しました。ランチェスターの法則には、他にも「弱者は商品の幅を狭くして経営資源の分散を防ぐ」「市場規模の小さな地域で1位を目指す」「営業地域の範囲を狭くする」といった項目があります。これらに共通するのは、経営の選択と集中です。

大企業のようにあれこれと参入をして、すべてで1位を目指すというやり方は、中小企業にはそぐわないものです。そこで自社が強みを発揮できる分野に経営資源を集中させ、そこだけで勝負をして1位を目指すのがランチェスターの戦略です。

これができている企業は、その市場が存在し続ける限り、常に勝者であり続けることができます。その市場が今後も存在するかどうかについては、前項で述べたように「今後も必要とされる強みなのか」を分析した上で経営資源を集中させる必要があります。

3-3.弱い部分を強みに変えることもできる

すでにある自社の強みを知り、それをさらに強くすることにスポットを当てて解説してきましたが、自社の弱みを強みに変えるという逆転の発想も有効です。

例えば、携帯電話の電波が届かないような場所への観光ツアーを企画し、本当の意味で自由になれる時間を提案したことがヒットを生んだことがあります。携帯電話の電波が入らない不便さ(弱み)を目玉に置いたことで、差別化に成功した好例と言えるでしょう。

可視化された自社の弱みについて、それを単なる弱みであるとしてつぶすことだけを考えず、先ほど解説した「市場から必要とされているか」の視点をもって分析することで、もしかすると「市場から必要とされる弱み」であるかもしれません。ここで重要なのは、強みだけでなく弱みの中にも差別化されているものがあり、それが市場から必要とされるのであれば強みになり得るということです。

4.まとめ

自社の強みを知るというのは、己を知ることの企業版です。自社を客観的に評価し、そこから見えてきた戦略は差別化に役立つ可能性が高く、隠れていた経営のヒントが続々と明るみにでてくるはずです。自社の強みを一度考えてみる機会を持つことには、これだけ多くのメリットがあるのです。

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