今すぐ確認!親族内承継のメリット・デメリットおよびトラブル例4選

「親族内承継にはどのようなメリットとデメリットがあるのだろう?」

「そもそも親族内承継はどうやって行うの?」

最近は中小企業のM&Aの噂も耳にするようになりましたが、依然として中小企業の事業承継のほとんどは親族内承継で行われています。

つまり現経営者が子供や兄弟に会社を譲るのですね。あなたが事業承継をしようとする場合も、第一の選択肢となるのが親族内承継ではないでしょうか?

今回の記事では、親族内承継について以下の点を紹介させていただきます。

  • 親族内承継の現状と割合
  • 具体的な方法
  • メリットとデメリット
  • 典型的なトラブル
  • 事業承継税制について

親族内承継は典型的な承継手段であるからこそ、細かなポイントを意識することで会社全体にとって望ましいものを実現することが可能だと思います。

あなたも今一度この記事で親族内承継の細部を確認してみてはいかがでしょうか?

親族内承継の現状と割合

  • 親族内承継をする企業の割合、また事業承継全体で親族内承継に関係する現状を解説

記事のはじめに現在の日本における親族内承継についての情報を紹介させていただきます。以下は中小企業の承継形態についてまとめたものです。

引用:2013年版「中小企業白書」 

このように小規模事業者ではおよそ65%、中規模事業者ではおよそ42%が事業承継を親族内承継で行っているのです。

これに対してM&Aに該当する買収は1%~2%程度にとどまっており、圧倒的少数であることがわかりますね。

このように中小企業においては親族内承継こそが事業を存続させる主な手段となっていますが、承継させられずに廃業となる会社も決して少なくありません。

では、どのような理由から廃業を選択せざると得ないのでしょうか?

以下は小規模事業者の廃業理由をまとめたものです。

 引用:2013年版「中小企業白書」 

このように廃業理由のおよそ55%は後継者についての問題なのですね。中小企業では親族内承継が一般的であるといっても、その実現は決して簡単ではないのです。

親族内承継における典型的なトラブルについては記事の後半で紹介させていただくので、あらかじめ対策を講じておくことができると万全です。

親族内承継をする具体的な方法

親族内承継の現状を確認したところで、続いてはどのようにして親族内承継を行うかという点について紹介させていただきます。

親族内承継は子供や兄弟をはじめとした親族に会社を譲ることですが、会社を譲るということは株式を譲るということになります。

そのため、ここでは株式を譲る具体的な方法を3つ紹介させていただきます。

相続

はじめに紹介させていただくのは「相続」です。

相続ということは、つまり被相続である現経営者が死亡し、現経営者の所有物であった株式が後継者である親族に移るということになります。

現経営者が死亡しなければ相続は起こらないため、事業承継の場合で相続が計画的に用いられることは決して多くありません。

相続が起こるのを待つくらいならば、後述する生前贈与や売買で株式を後継者に譲ってしまった方が事業承継はスムーズに進むためです。

しかし経営権だけを後継者に譲った後に、唐突に被相続人が死亡して、結果として相続の形で後継者に株式が移動する場合はあります。

ただし、その場合であっても相続人が複数いる場合は、事前に後継者たる人物に株式が集まるように遺言や親族内での協議を完成させておかなければなりません。

このように相続は親族内承継を行う方法として必ずしも適切ではありませんが、贈与の場合と比較して税額が安くなるというメリットはあります。

生前贈与

次に紹介させていただくのは「生前贈与」を用いた方法です。

こちらは現経営者に死亡と関係なく株式を後継者に譲ることができるため、中小企業の親族内承継においてよく用いられます。

ただし贈与税は相続税よりも高くなるため、後継者の税負担については対策が必要です。

よく用いられる対策としては、数年から十数年かけて株式を段階的に贈与していくものです。

そうすることで単年度あたりの贈与税を軽減することができ、結果として後継者の税負担を大きく減らせるのです。生前贈与における株式の移動は計画的に行いましょう。

売買

最後に紹介させていただくのは「売買」です。

こちらは現経営者から後継者に株式を売り渡すため、相続トラブルを回避しやすい方法となります。ただし後継者が株式を買い取る資金を用意しなければならない点に売買の難しさがあるのも事実です。

株式の価値を判断する方法には様々なものがありますが、小さな企業の株式であっても価値が1,000万円を超えることは決して珍しくありません。

そういった株式を買い取る資金を後継者が用意できずに、売買を諦めて他の手段で親族内承継を行う企業も多いのです。

後継者に資金力がある場合におすすめなのが株式の売買による親族内承継となります。

親族内承継のメリットとデメリット

親族内承継を行う具体的な方法について紹介させていただいたところで、ここでは気になるメリットとデメリットについて解説いたします。

中小企業がM&Aを実行することは簡単ではありませんが、親族内承継を行うメリットとデメリットを理解することで、あなたの会社が目指す選択肢が見えてくると思います。

メリット

はじめに親族内承継を行うメリットには以下のものがあります。

  • 早い時期から計画的に事業承継を進めることができる
  • 現経営者や従業員の心情的に受け入れやすい
  • 手続きが簡単

このように親族内承継にはM&Aにはないメリットが確かに存在します。

特に後継者を選定してから10年単位で事業承継を行うことができる点は大きなメリットでしょう。それだけ後継者を育成する期間も長くとることができます。

またM&Aなどと比較すると手続きが簡易であり、仲介会社に巨額の報酬を支払う場合が少ない点も嬉しいですね。

さらには外部から来た人物がいきなり経営者になるよりは、現経営者の親族が新しい社長になった方が従業員も受け入れやすくなります。

デメリット

上述したとおりメリットのある親族内承継ですが、以下のようなデメリットがある点も忘れてはいけません。

  • 親族に経営者としてのポテンシャルがあるとは限らない
  • 相続人が複数いる場合、株式を一人の後継者に集中させにくい
  • 個人保証を外しにくい

親族内承継の最も大きなデメリットは広く新しい経営者を探すことができないという点です。

親族内に経営者としてのポテンシャルを持ち、その上で経営の意欲を持つ人物がいない場合は必然的に親族内承継が不可能となります。

また現経営者の子供が複数人いるような場合は、一人の子供に株式のすべてを譲ったのでは他の子供が不公平を感じてトラブルとなるケースがあります。

親族内承継を行う際は、こうした細かな部分への配慮が非常に重要となるのですね。

親族内承継における典型的なトラブル

ここまでの内容で親族内承継の特徴がわかってきたでしょうか?

中小企業でよく用いられる承継方法ですが、メリットとデメリットはしっかりと把握して臨みたいものですね。もしかするとあなたの会社に最も適した方法は親族内承継ではないかもしれないためです。

ここではデメリットの具体化の意味もかねて、親族内承継で起こる典型的なトラブルについて紹介させていただきます。

トラブルについても事前に内容を把握しておくことで対処がスムーズになります。以下では4つのトラブルを紹介するので、ぜひとも読んでみてください。

親族に承継意思もしくは経営のポテンシャルがない

最初に挙げさせていただくトラブルは、会社を譲ろうと考えている親族に以下の2つのうちのどちらかが欠けているものです。

  • 承継意思
  • 経営者としてのポテンシャル

これまで経営者として会社を引っ張ってきたあなただからこそわかることかもしれませんが、会社経営は中途半端な気持ちで務まるものではないでしょう。

私自身も過度に責任を背負い込み過ぎないように気を付けてはいますが、やはり会社が従業員の生活を支えている側面は確かに存在すると思います。

こうした重圧の中で経営を続けていくためには、上述した承継意思が必要になるはずです。

またいくら承継意思があったとしても、会社としての責任を負い、かつ日々の中でリスクをコントロールして様々な物事を決断していく力がなければ経営は難しくなります。

親族内承継はどうしても後継者の候補を広くとることができないため、上記した2つの要素を致す人物を探すのが難しくなります。

そのまま事業承継を強行しても会社にとってのデメリットが増えるだけの恐れがあるのですね。親族内承継は後継者の候補を広く探せないという点はよくトラブルに結び付きます。

時間が足りない

また親族内承継は承継を完了させるまでに時間がかかる点にも注意が必要です。

親族内承継に時間がかかる理由は以下の2つです。

  • 経営の経験のない後継者を育成するため
  • 資金力のない後継者に、贈与を用いて株式を段階的に移動させる必要があるため

特に後継者の育成には5年~10年かかるのが一般的です。そのため、その期間を織り込んだ事業承継計画を立てなければならないのですね。

現経営者が高齢であるような場合は、後継者の育成しきることができずに終わることも少なくありません。

親族間でもめる

株式の移動方法の箇所で紹介させていただきましたが、相続人が複数いる中で後継者である一人に会社の株式の全てを集中させることは親族間での揉め事につながる恐れを持っています。

株式を受け取ることができなかった相続人としては「私だけ相続できる財産が少なくて不公平」と感じてしまうのですね。

これを避けるためには、他の相続人には土地建物を譲るなど公平を図る取り組みが必要となります。また会社の存続のために必要な行為なのだと事前にしっかりと説明して同意を得ておくことも有効でしょう。

昇進が早すぎて社員からの反発

親族内承継は会社内でトラブルを引き起こす恐れがあります。

特にこれまで社内に属して居なかった現経営者の子供をいきなり専務に据えるような場合には社員から反発が起こることが予想されます。

これまで長く会社に努めてきた社員こそ「俺はやっと部長なのに、社長の息子はいきなり取締役か」と不信感を得る恐れがあるのですね。

私が会社を継ぐことを決めた際は、はじめに従業員として父の会社に入社しました。

私の場合は古参の社員さんも事業承継に理解を示してくれたため、上述したような反発はありませんでしたが、それでもはじめは従業員として現場の仕事に携わる機会を得られたからこそ会社の内実を理解できたと感じます。

このように他の社員との関係においても、後継者の経験においても、どのようなステップで後継者を社内で昇進させていくかについては慎重な判断が必要となるでしょう。

事業承継税制について

ここまで解説させていただいたとおり親族内承継であってもメリット・デメリットがあり、またトラブルの恐れはあります。

そのためあなたの会社に親族内承継が向いているか否かはじっくりと判断してみてくださいね。

記事の最後では、事業承継税制について簡単に確認させていただきます。

事業承継税制は、非上場株式の相続もしくは贈与を受けた人物に課される相続税または贈与税の納付を猶予する制度です。

そのため親族内承継の場合は、この事業承継時絵性を使うことのできる場合が多いのですね。

事業承継税制の要件は複雑ですが、相続の場合と贈与の場合に共通する主な要件は以下のとおりです。

 引用:中小企業庁「事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予及び免除制度」

以上のように、

  • 会社としての要件
  • 先代経営者としての要件
  • 後継者としての要件

をそれぞれクリアしていく必要があります。

要件が多いようにも感じますが、細かく確認すると多くの中小企業が当たり前にクリアできているものも多いため、それほど神経質になる必要はないでしょう。

上記の図以外の細かな要件については以下の記事にまとめてありますので、お時間のあるときに読んでみてください。

5つの要件と打ち切り事由を徹底解説!事業承継税制を理解しよう

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は親族内承継について改めて確認させていただきました。

中小企業においては、親族内承継こそが事業を後世に残すための主たる手段となる場合が多いため、この記事が細かな部分の確認に役立つと幸いです。

今回の記事の内容をまとめると以下のとおりとなります。

  • 親族内承継をするためには株式を相続・生前贈与・売買で後継者に譲る必要がある
  • 親族内承継は社員からの理解を得られやすいが、後継者を広く探すことはできない
  • 親族間でもめる、社内でもめるなどのトラブルを事前に理解しておこう
  • 親族内承継は事業承継税制を使って相続税もしくは贈与税を節税しやすい

親族内承継にはM&Aのような派手さはありませんが、その分、親族間・会社内でもめることがあります。

そういったトラブルは会社の空気を悪くして、「後継者のもとで皆で会社を盛り上げよう」という気持ちを妨げることにつながってしまいます。

そのため親族内承継については事前に知識を仕入れておき、各段階で起こるトラブルを未然に防ぐ取り組みが必要となるでしょう。

あなたもご自分の会社に起こりそうなトラブルについては早い段階から警戒しておいてみてはいかがでしょうか?

そうすることで会社をより良い形で後世に残す親族内承継が可能となるのですね。

 

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