今すぐ着手すべき3つの取組みを解説!中小企業の後継者問題のすべて

「ついに私の会社も後継者問題に悩まされることになった…何から手を付けていくべきなのだろう?」

「後継者探しに動き出すべきタイミングはいつが最適?今すぐは早すぎるのかな?」

あなたも多くの中小企業が後継者不足に悩まされていることは知っているでしょう。こうした後継者問題は、遠からずあなたの企業にもふりかかってくるものです。

しかし現時点で明確な悪影響が起きていないことから、ついつい対応を先延ばしにしてしまいます。

後継者問題については、いつの時点から対応していくべきなのでしょうか? この点について、結論を述べると「後継者問題への対応は早ければ早い方がよい」ということができます。

つまり、あなたの会社としても今すぐ始めるべき取組みがあるというわけです。

今回の記事では、中小企業の後継者問題について、

  • 中小企業の後継者問題の現状
  • 後継者を見つけられなかった企業が辿る道
  • 中小企業の後継者が不足する5つの理由
  • 後継者問題を解決する2つの方向性
  • 今すぐ始められる後継者問題への取組み3つ

を解説します。この記事を読むことで、後継者問題に対する取組みを先延ばしにするリスクがわかり、また今すぐ着手すべきポイントを知ることができます。

あなたも来るべき事業承継を円滑に進めるために、後継者問題への対応方法を知っておきましょう。

中小企業の後継者問題の現状

はじめに中小企業の後継者問題の現状について確認してみましょう。いくつかのグラフを紹介しますが、まずは後継者の不在率についてです。

引用:全国「後継者不在企業」動向調査(2018年)

「社長引退平均年齢」である66.5歳の部分を見ると、50%を超える企業で後継者が不在となっています。さらに「全国社長平均年齢」である59.6歳の部分では、約65%の企業で後継者が不在なのです。

そして社長の年齢が80歳を超えても、なんと30%を超える企業で後継者が不在になっています。このように後継者の不在率は深刻な問題となっているのですね。

また後継者の育成に5年~10年かかることを考えると、後継者探しに動き出すべきタイミングは「社長引退平均年齢」である66.5歳から10年前、つまり現経営者が56歳頃からとなります。

しかし場合によっては育成にさらなる期間が必要な場合もあり、また後継者がすぐに見つかるとも限らないため現経営者が50歳を超えたあたりから徐々に後継者問題に対する取組みを始めるべきでしょう。

次に、業種別の後継者不在率を確認してみましょう。

引用:全国「後継者不在企業」動向調査(2018年)

上の表からは、従業員が多くなるほど、売上高が大きくなるほど、資本金が大きくなるほど後継者不在率は低下することがわかります。つまり中小企業よりも大企業の方が後継者を見つけやすくなっているのですね。

このように中小企業にとって、後継者問題は深刻です。そして時の経過を待つだけで自然と後継者が見つかることは原則ないので、あなた自ら積極的に後継者探しを行うべきなのです。

後継者を見つけられなかった企業は廃業

後継者不足の深刻さを確認したところで、ここでは後継者を見つけられなかった企業がどうなっていくかを解説します。まずは1999年から2014年にいたる企業数の推移を確認してみましょう。

引用:「2017年版中小企業白書 概要」

このように1999年には484万社あった企業が、2014年には381万社にまで減っています。

もちろんすべての企業が後継者不足により廃業したわけではありませんが、先ほど紹介した後継者不在率をあわせて考えると、決して少なくない数の企業が後継者を一つの理由として廃業を決めているはずです。

企業が廃業するデメリット

それでは企業が廃業するとどのようなデメリットが生まれるのでしょうか? この点については、以下の3つが特に大きなデメリットとなります。

  • 従業員が働き場を失う
  • 顧客が商品を購入する相手を失う
  • 承継した場合と比較して、経営者の手元に残るお金が少なくなる

あなたの会社が廃業することで、あなたの会社で働いていた従業員は働く場所を失い、あなたの会社から商品を購入していた顧客は取引相手を失います。

また事業承継によってあなたの会社の株式を適切な価格で後継者に買いとってもらった場合と比較すると、会社を清算してあなたの手元に残るお金は少なくなります。

これは会社の事業が継続することについての対価を得られないためですね。

このように後継者がいないことで会社が廃業してしまうと、従業員および顧客だけでなく社長であるあなたにも不利益が発生するのです。

そのため廃業は自らすすんで選ぶ道ではないでしょう。やはり事業を承継させることを第一に考えた行動が必要になるのです。

なぜ中小企業後継者が不足するのか

続いて、なぜ中小企業の後継者は不足するのかについて確認していきましょう。理由を知ることで、後継者を探すために今から始めるべき取組みが見えてくるはずです。

以下では5つの理由について解説します。

子が後継者になりたくないと考えている

第一に挙げられる理由は、子が会社を継ぎたくないと考える場合が増えたというものです。一昔前であれば当たり前だった「親の会社を継ぐ」ことが減っているのですね。

子が親の事業を承継しない理由については、以下の調査結果が参考になります。

引用:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h17/hakusho/html/17323220.html

こうして見ると、職業選択の自由への理解が進んだことも関係していますね。つまり子が親の事業に魅力を感じることができず、その上で自ら選んだ職業にやり甲斐を見出すことも増えているのです。

このように子の側から事業を継ぎたくないと考える場合が増えています。

子、従業員および役員の中に経営者の資質を持つ人物がいない

上で見た理由は、子の側から事業を継ぎたくないと考えるものでしたが、反対に親の側から子には継がせられないと考える場合もあります。その理由は経営者としての資質の欠如です。

これは子だけでなく、従業員や役員についても同じことが言える場合があります。つまり現経営者の周辺に安心して会社を任せられる人物がいないのです。こうしたことから後継者不足が起こります。

後継者の資金がなく、会社の株式を引き継ぐことができない

後継者不足が進む理由には、会社の株式の価値が原因となる場合もあります。株式の価値を計算する方法には様々なものがありますが、中小企業の株式であっても数千万円の価値を持つことは決して少なくありません。

それこそ安定した利益を出しており、将来利益まで株式の価値算定に含めるならば1億円を超えることもあるでしょう。

こうした株式を後継者に承継させる場合、原則としては後継者が対価を支払って買うことになります。この資金を用意することができず、会社を承継できない場合があるのですね。

資金を用意できないからといって、相続や生前贈与の形で現経営者から子に株式を譲ったとしても、結局は株式の価値から算出される相続税または贈与税が課されます。

こうした後継者の資金面の問題も後継者不足につながる原因となります。

経営状態が悪く、M&Aができない

後継者が周辺にいない場合、M&Aを使って外部者に会社を譲る場合があります。昨今増えてきている事業承継のあり方ですね。

しかし会社の経営状態が悪いと、そもそも買い手が現れません。それこそ債務超過のような状態では、買うだけリスクと判断されることも多く、やはり後継者が見つからない事態が生じるのです。

また財務諸表の上では数字に問題がない場合であっても、訴訟リスクを抱えているなどの事情からM&Aができないパターンもあります。

M&Aで後継者を見つけるならば、会社を外から見て承継したいと思えるものにしておかなければなりません。

後継者問題について早期の対策ができていない

後継者問題になるべく早く対処すべきことは記事の中で何度も述べていますが、これが遅れることで最終的に後継者が見つからない事態になる恐れがあります。

つまり現経営者の高齢化が進み、後継者の育成ができずに限界を迎えてしまうのです。

先ほど「社長引退平均年齢」である66.5歳の時点で50%を超える企業で後継者が不在というデータを見ましたが、そこから後継者の育成に5年かけると社長は71歳になります。仮に育成に10年かかったとしたら、社長は76歳です。

後継者の育成には5年~10年かかると言われているので、あなたの引退年齢を見越して後継者探しを始めなければなりません。

後継者問題を解決する2つの方向性

後継者が不足する理由を解説しましたが、あなたの会社に該当しそうなものはあったでしょうか? もしあったならば、あなたは今すぐ後継者問題を解決するための取組みを開始しなければなりません。

ここからは後継者問題を解決する2つの方向を紹介し、その後に今すぐ着手できる3つの取組みを紹介します。ここを読み、あなたも後継者問題を回避して事業を円滑に承継させる第一歩を踏み出してください。

後継者を探す

後継者問題を解決するための1つ目の方向性としては、当然のことではありますが、後継者を探すことが挙げられます。そして後継者探しはなるべく早く開始し、またなるべく広く行う必要があります。

早さについては先ほども述べた育成期間の問題があるためです。一方で広さについては、なるべく理想的な形で会社を後の世代に残すためです。

あなたが「会社は子以外に譲る気はない」と偏った考えで事業承継に臨むと、子に経営者としてのポテンシャルがなかった場合に会社が倒産し、従業員も顧客も不幸になります。

子に継がせたいという親の思いはわかりますが、一つの会社を代表する立場である以上、親としての想いよりも社長としての適切な行動を優先すべきでしょう。

会社の状態を良くする

後継者を探すこととあわせて行ってほしいのが、会社の状態を良くすることです。上で、会社の経営状態が悪いことによってM&Aができない場合があると述べましたが、これを回避していくことになります。

つまりは「継ぎたくなる会社」を作るということですね。

これはM&Aの場合のみならず、子や従業員に会社を継がせるためにも重要です。リスクしかない会社を継ぎたいと考える人は、やはりいないでしょう。

今すぐ開始!後継者問題に対する3つの取組み

後継者問題への対策を始めるとき「後継者探し」と「会社状態の改善」の2つの方向性があるとわかったところで、ここからはそのための具体的な取組みを3つ紹介します。

すべて今すぐ着手すべきものなので、しっかりと確認し、あなたもすぐに始めてみてください。

親族または社内に後継者に相応しい人物がいるかチェック

はじめに行うべきは、やはり後継者探しです。具体的には、以下の中に後継者に相応しい人物がいるか確認していきます。

  • 親族
  • 役員
  • 従業員

すべてあなたの周辺にいる人物となります。はじめからM&Aを検討するのも問題ありませんが、周辺に経営者として相応しい人がいる場合もあるため、まずはあなたに近いところから確認していきましょう。

経営者としてのポテンシャルをはかるためにどういったポイントに着目すべきかというと、まずは「経営上の決断をすることができるか、またその責任をとることができるか」という点でしょう。

極端な話をすると、財務や会計の知識は育成期間に少しずつ学ぶことができます。しかし会社を代表する責任主体になるプレッシャーと孤独に耐えられるか否かは、真っ先に見極めるべきでしょう。

それに加えて本人に事業を経営していくやる気があるか否かも重要です。はじめからあなたのように上手く経営していくことはできなくて当然なので、それを補うモチベーションを持っているか否かを確認しましょう。

会社の経営状況を改善

後継者探しと同時に着手してほしいのが、会社の財務状況の改善です。

もちろん売上高を高めてコストを削減し、純利益および純資産を増やすといった方向も大切ですが、それは言ってしまえば会社経営をする中で常にあなたが考えているポイントでしょう。

事業承継を前提とするならば、上記だけでなく、あなたの頭の中に入っている情報を第三者にわかりやすいものに転化していく作業が必要となります。つまり属人的な情報を外からわかりやすいものにするのですね。

例えば、現経営者であるあなたの頭の中には事業リスクについての情報が当然入っているはずですが、それは必ずしも後継者が明確に理解できるものではないでしょう。

また財務諸表に載らない以下の要素についても見える化する必要があります。

  • 会社の歴史
  • 会社のブランド
  • 信用
  • 会社の強み
  • 会社のビジョン

これらは「見えない資産」とも呼ばれるもので、あなたの会社の価値になりますが、財務諸表からは読み取ることはできないのですね。

こうした要素を示すことのできる状況を整えておくと、あなたの会社は後継者の目により魅力的に映るでしょう。

専門家に相談

今すぐ着手すべき取組みの3つ目は、事業承継について専門家に相談することです。ほとんど何も決定していない状況で相談しても構いません。

昨今は多くの機関で事業承継のサポートを行っているため、「10年後の事業承継を考えているのですが…」といった相談から、専門家のアドバイスを得て、着手すべき具体的な業務が見えてくる場合もあります。

はじめに事業承継について相談すべき機関としては以下のものがあります。

  • 後継者人材バンク
  • メインバンク
  • 会計士・税理士

後継者人材バンクは、事業引継ぎ支援センターが行っている事業で、中小企業と事業の引継ぎを希望する企業および個人をマッチングする役割を有しています。

しかし後継者人材バンクを利用すると、事業承継がM&Aの方向に進むため、子や従業員の中に後継者になり得る人物がいる場合は今すぐ利用する必要はないでしょう。

それに対してメインバンクには早めに相談しておくべきです。

事業承継について相談したからといって、そのことが理由となって融資が打ち切られるような恐れは原則ないため、信頼関係の維持のためにも早い段階で相談しておきましょう。

会計士および税理士には、株式の譲渡方法や節税について相談することができます。

後継者を探す際は、最終的にどういった形で株式を現経営者から後継者に引き継がせるのかまで説明する必要があるので、あなたが事業承継の流れを理解しておくことは必須です。

まとめ

以上のとおり、今回は中小企業の後継者問題について解説してきました。現代においては多くの企業が後継者不足に悩んでおり、それはいずれあなたの会社にも襲い掛かるものです。

そのため早い段階から後継者問題に対する取り組みを始めることで、事業承継を成功させることができるのです。現経営者が50歳を超えている場合は、今すぐ後継者探しと会社の経営状況の改善に着手しましょう。

今すぐ始めるべき取組みをまとめると、以下のとおりです。

  • 子、親族、役員、従業員といった周辺人物に後継者候補がいるか確認
  • あなたの頭の中にある会社の魅力や強みを、第三者にもわかりやすいものにする
  • メインバンクに事業承継を考えていると相談する
  • あなたが事業承継の流れをつかむ

こうした4つから始めていくことで、事業承継は徐々に進んでいきます。そして後継者がいないという事態を回避し、円滑な事業承継をすることができるのですね。あなたも後継者問題に対する取組みを今すぐ始めましょう。

合わせてこちらの記事も確認してください。

分解して考えれば怖くない!後継者の選び方、育成の手順と4つの注意点

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です