分解して考えれば怖くない!後継者の選び方、育成の手順と4つの注意点

「会社を譲る後継者ってどのようにして選べばいいんだろう…?」

「事業譲渡を考えているけど、後継者の育成って具体的に何をしたら良いのだろうか…?」

会社を次世代に残す場合、会社の経営を「誰に」託すかは非常に重要なポイントになります。つまり次期社長を誰にするかという問題です。

特に中小企業の場合、事業や経営が一人の社長に依存することも多いため次期社長こそ会社の行く末を決めるといって過言ではないのです。

そしてさらに重要なのが後継者の育成です。

あなたが長い時間をかけて経営を学んできたことからもわかるように、会社を継いだ瞬間から適切な経営ができる人物は原則いません。そのためあなたが後継者をしっかりと育成する必要があるのです。

今回の記事では、後継者選びと育成について解説します。

後継者の育成については、あなたの会社特有の事情も想定しつつ読んでみてください。この記事を読むことで育成のために必要な業務から育成期間まで、あなたの会社を適切な形で次世代に残すコツがわかるはずです。

後継者を選ぶポイント

はじめに後継者選びについて解説します。いくらこれから育成していくとしても、やはり最初の時点で次期社長たるポテンシャルと意欲を秘めた人物を選びたいものです。

そもそも会社を譲る対象には以下の3パターンがあります。

  • 子、兄弟、親戚といった親族
  • 社員、役員といった会社内部の人物
  • 親族でも会社内部の人物でもない第三者(M&Aや経営者を外部から雇う場合)

この中で「親族でも会社内部の人物でもない第三者」については、原則として経営の経験がある人物に会社を譲ることとなるので、後継者の育成の射程からは外れることになるでしょう。

そのため、この記事は「子、兄弟、親戚といった親族」および「社員、役員といった会社内部の人物」を後継者とする前提で進めます。

その上で後継者を選ぶ上で見極めるべきポイントをまとめると以下のとおりとなります。

  • 子息がいれば意思確認をしておく
  • はじめのうちは後継者を広く探す
  • 社員としての能力ではなく経営者としての能力を有した人物を探す
  • 経営はわからないことの連続なので粘り強く学ぶことのできる人物を探す
  • 過度に慎重にならず、トライ&エラーを繰り返すことのできる人物を探す

会社内部から後継者を選ぶ際は、ついつい社員としての実務能力の高い者を候補にしてしまいます。

しかし実務と経営の違いはあなたが最もよく知るところでしょう。そのため「経営者に適した人物」という判断基準は崩さないように注意してください。

やはりあなたの会社のことはあなたが一番知っているので、あなたがこれまで培ってきた経験から経営に必要な能力を抽出し、それに基づいて後継者を選んでいきましょう。

 

また「会社が魅力的か否か」は後継者を見つけるために非常に重要です。

債務超過の状態が継続していて、いつ潰れてもおかしくない会社はほとんどの人が継ぎたいと考えません。

しかし、しっかりと利益を出すことができていて、将来の可能性を感じられる会社ならば親族から第三者まで後継者に名乗りを上げる人物が増えることが期待できます。

 

そのため後継者を探す際は、並行して会社の魅力を高める活動も進めてみてくださいね、北風と太陽ではありませんが、「自然と継ぎたくなる会社」を作ることを目指してほしいと思います。

後継者が行うべき業務を順に確認

ここでは後継者を選んだ後に着手していくこととなる「後継者が行うべき業務の順番」を解説します。あなたが誰を後継者として選んだとしても、すぐに経営者にしてはいけません。育成はここから始めるのです。

こうした育成については、後継者をあなたの会社に入社させるところから一般的に5年~10年が必要とされています。そのためあなたの引退時期の少なくとも5年前には後継者を見つけて育成を開始する必要があるのです。

ちなみに私の場合も父の会社を継ぐと決めて一社員として入社してから5年をかけて社長に就任しています。

一社員として業務に従事

後継者はまず一社員として会社に入社させる必要があります。ここでいきなり役員に就任させてしまうと、他の社員や役員から「業務経験もないのにいきなり役員か…」と不要な反発を招くのです。

そのため次期社長であっても一社員として入社させ、1つあたり数か月をかけて全ての部門をローテーションさせます。ここで全ての部門についての実務経験を積む機会を与えるのですね。

社長となったあかつきには、全ての部門の業務を把握して統括していかなければならなくなります。そのため実務に携わる機会は非常に重要なのです。

またあわせて株式会社という組織のメカニズムを学ぶと、部門同士のつながりが体感できておすすめです。

経営に関して書籍・セミナーで学習を開始する

先ほど株式会社という組織のメカニズムを学ぶ必要があると述べましたが、それは第一に後継者が書籍を利用して座学にて学ぶべきです。

あなたが座学だけでは学ぶことのできない部分について、経験とノウハウを伝えることで座学の効率は向上します。

その上で時間と費用に余裕があれば後継者をセミナーや勉強会に参加させて、インプットした知識を確認する場を与えましょう。これを繰り返すことで経営にあたるために必要な組織やビジネスへの理解が深まっていきます。

財務に関する知識の学習

経営についての知識と並行して、財務についての知識も後継者には必須となります。

財務に関する知識とは、財務諸表に表れた数字を現実に置き換えるための知識です。つまり財務諸表から会社の問題点や強みを把握できるようになるのです。

こうした財務に関する知識は「会計」というジャンルになります。これも第一に書籍を通して座学で習得していくことになります。

またあなたが後継者と共に、財務諸表と照らし合わせながら会社にある在庫品の数、毎月に支出額と支出先、売掛金の回収タイミングと買掛金の支払いタイミングなどを一つずつチェックしいていく作業もおすすめです。

そうすることで、財務諸表の数字があなたの会社の実体に即して理解できるようになります。

ステップを踏んで昇進

このようにして後継者に全ての部門の実務を経験させ、経営と財務の基礎ができてきたら昇進が視野に入ってきます。その際も社員からすぐに役員に昇進させるべきかについては社内の状況をみて判断してください。

特に企業規模が一定程度に大きくなる場合は、ステップを踏んだ昇進が効果的です。管理職は経営者としても必要な人員の管理業務を体験できる役職なので、後継者の学びの場ともなります。

経営に参加させる

そして後継者に役職の経験も積ませた後は、ついに経営に本格的に参加させます。

ここまでの過程で後継者は部門ごとの実務および人員を管理する業務を経験してきており、また経営と財務に関する知識も習得しているため経営への参加はスムーズにいくでしょう。

もちろんこの時点であくまで経営者としてのスタート地点に立ったにすぎませんが、土台はできているはずです。

ここからは実践を通してあなたの経営についての経験とノウハウを余すところなく伝えていきましょう。対外的に大きな責任を伴わない経営判断を後継者に任せるのも良いはずです。

ここまで見てきた通り、後継者の育成には長い時間と根気強さが必要となります。

しかし途中を疎かにすると、それは経営者となった際に跳ね返ってくるのです。あなたの会社特有の事情も加味しつつ、後継者を育成していってください。

後継者を育成する際、現経営者が注意すべきこと

後継者を育成する手順を確認したところで、ここからは育成時にあなた(現経営者)が注意すべきポイントを紹介します。

「育成するぞ!」と力が入ってしまい、後継者の全てをあなたの思う通りにコントロールしようとすると失敗の恐れがあるのです。

後継者を育成する際に現経営者が気を付けるべきポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 後継者と先代経営者でビジョンを共有する
  • 後継者の考えを尊重する
  • 後継者を補佐するナンバー2も育成する
  • 金融機関および取引先からの信頼は徐々に後継者の中に作っていく

あなたと後継者の間で経営に関する考え方に大きな違いがあることも珍しくありません。その場合は一方的にあなたの考え方を押し付けず、後継者の考えを尊重しましょう。これから会社を背負おうのは、あなたではなく後継者なのです。

そして後継者の育成と同時に、後継者を支えるナンバー2も育成できると万全です。あなたはよく知る経営者の孤独を癒す良きパートナーにするのです。

これは必ずしも後継者と同年代である必要はなく、古参社員から抜擢しても問題ありません。

経営者の役割の一つに対外的な取引関係における信頼のよりどころとなるというものがありますが、金融機関や取引先からの信頼は一朝一夕で後継者に備わるものではありません。

そのためあなたが社長を退いた後も、一定期間は共に代表権を持つなどして、あなたが対外的な信頼を引き受けましょう。これはゆっくりと後継者に引き継いでいくものとなります。

事業承継において後継者育成が重要な理由

いかがでしょうか、ここまでの解説で後継者を育成する流れがあなたの頭の中に形作られてきたでしょうか? 

記事の最後では、改めて事業承継において後継者育成が重要な理由を確認してみましょう。ここで紹介する理由から後継者育成のあり方を導き出すこともできるので、読んでみてください。

事業承継の際に後継者の育成が重要な理由をまとめると以下の通りになります。

  • 後継者育成ができないと会社が清算になる恐れがある。そして従業員と顧客が行き場を失う
  • 後継者への引継ぎで会社の成長がストップするリスクがある
  • 新しい世代の経営者となることで、会社が現代に合わせて成長する可能性を持つ

このように現経営者から後継者に経営を引き継ぐことには良い側面とリスクの両方があります。後継者の育成とは、良い側面を強めてリスクを小さくすることに他ならないのですね。

これらの理由を常に念頭に置きながら、あなたの会社として適切な後継者の育成のあり方を考えてみてください。

まとめ

今回の記事では事業承継における後継者の育成について解説しました。いかがだったでしょうか?

「後継者の育成」と漠然と考えると方法が見えてこないものですが、この記事で紹介したように育成の過程を細かく分けて考えると、すべきことが見えてきませんか?

とはいえこの記事で紹介したのはおくまで育成の一般論です。そのため、これにあなたの会社特有の事情を組み合わせることで、あなたの会社にとってベターな育成のあり方が見えてきます。

それこそここまで経営の指揮をとってきたあなたの役割でしょう。

今回の記事の要点をまとめると以下のようになります。

  • 後継者選びでは「経営者としての適性」が重要
  • 後継者には一社員として全部門の実務を経験させる
  • 経営と財務については書籍を利用して座学で学ぶ
  • 適切な昇進を経て経営に携わらせる
  • 後継者の考えを尊重する
  • 後継者を支えるナンバー2も育成する

このように後継者育成のためにあなたがすべきことは非常に多いです。これらの期間を適切に決めつつ、最低でも5年の余裕をもって後継者育成を始めてください。

優れた後継者は、あなたの作った会社を守り、成長させてくれます。後継者育成こそ創業者であるあなたの最後の仕事になるのですね。

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