価格競争から抜け出す「真のブランディング」と具体例3選

多くの企業は競合に勝つために、品質を高めることやデザインを美しくするなどの努力をしています。しかし、日本国内のほとんどの市場は成熟してモノが溢れているため安売りで訴求する価格競争に陥っており、そのせいで利益が出ないと悩んでいる企業が非常に多い状態です。

この問題を打開するために、ブランディングが注目されています。ブランディングによる差別化に成功すれば、価格競争ではあり得ないような高値でも売ることが可能になります。

しかしこのような結果を出すためには、本当に必要とされるブランディングが何を知ることが重要です。

そこで今回は、価格競争からの脱出を可能にするブランディングについてお教えします。

1.価格競争から抜け出せない企業の行く末

業績が伸び悩む企業がとれる道は、価格競争を進めるかブランディングを進めるかの2つがあります。もし、価格競争から抜け出すことができずにそのまま進んでいく場合、その企業の末路はどうなるのでしょうか?

これを知ることで漠然とブランディングの必要性を感じている方も、「なぜブランディングが必要なのか?」を明確にすることができるでしょう。

1-1.企業が業績不振に陥る原因

中小企業庁が報告している「倒産状況」という資料から、企業が業績不振に陥って最悪の場合倒産に至る原因は、販売不振が70%近くを占めていることが分かります。

【参考】中小企業庁公式「倒産の状況」

企業が生き残るためになんとしても解決しなければならない販売不振は、何が原因で起こるのでしょうか?

1-2.販売不振の原因は「販売量の減少」と「商品の安売り」

販売不振に陥る原因は、「販売量の減少」と「商品の安売り」の2つが挙げられます。

市場が成熟して売れ行きが思わしくない時点で、販売不振の原因である「販売量の減少」を満たしていることになります。そこに価格競争に巻き込まれることによる「商品の安売り」が加わると、企業が傾く2つの条件が揃ってしまい、収益の悪化が加速して事業の縮小や倒産のリスクが高まる結果になります。

こういった状況を他の商品やサービスの売上でカバーできれば良いのですが、そこまでの体力がある企業はかなり少ないため、手遅れにならないうちに他の打開策を実行する必要があります。それこそが「ブランディング」なのです。

1-3.企業の命運を分けるのは「ブランディングの質」

価格競争に危機感を抱き、ブランディングをしようと考えるのは間違いではありません。ただし、ブランディングの質が良くないと競合との差別化は難しくなります。

それでは、価格競争を抜け出すために本当に必要とされる「ブランディングの質」とは一体何なのでしょうか?次章で詳細に解説します。

2.「脱」価格競争を可能にする真のブランディングとは

ブランディングが成功すれば市場での優位性が一気に高くなり、価格競争に巻き込まれていた時では不可能だった高値でも商品やサービスを購入してもらうことが可能になります。

ただし、それは正しいブランディングができてこその話です。そこでまずは、「脱」価格競争を可能にするブランディングを知っておきましょう。

2-1.ブランディングは「広告」ではない

最初に知っておかなければならないのは、ブランディングは「広告」ではないということです。多くの企業が勘違いをしていますが、ブランディングとは競合より「格好良くする」ことでも「イメージをアップする」ことでもありません。

真のブランディングとは、商品やサービスの価値、企業そのものの価値を見える化して、その価値を必要としているユーザーに届けることです。

ここを理解していないと、見た目やモデルによるイメージアップばかりに注力した広告のようなブランディングをしてしまい、労力の割に結果が出ない状況に陥ってしまいます。

2-2.機能性をアピールするのは時代遅れ

少し前までは機能性重視のアピールでも良かったかもしれませんが、機能性はほぼ必ず模倣されるので差別化が難しくなります。さらにモノが溢れている成熟した市場では、機能性重視のアピールそのものが難しくなってきています。

2-3.ユーザーは「モノの豊かさ」より「心の豊かさ」を重視している

モノが溢れて物質的な豊かさが増すにつれて、ユーザーは「モノの豊かさ」よりも「心の豊かさ」を重視する価値観に変化していっています。それは経済産業省が発表した「消費者理解に基づく消費経済市場の活性化」でも指摘されています。

【参考】経済産業省公式「「消費者理解に基づく消費経済市場の活性化」研究会」

多くのユーザーは自分のライフスタイルにマッチしていたり、かゆいところに手が届くような商品が欲しいと考えており、とにかく安いものを購入したいと考える層は減少傾向にあります。

つまりユーザーは自分の価値観を重視しており、商品やサービスが提供するメリットが自分の価値観にハマれれば、比較的高めの値段でも購入する確率が高いということです。

2-4.真に求められるブランディングは「ユーザーへの共感」

先ほども申し上げた通り、ユーザーは安くて経済的なものや機能性ばかりを重視したものよりも、自分のライフスタイルに合ったものや、自分が好きだと思うものを購入する価値観に変化してきています。

そこで重要になるのが、「なぜその商品やサービスを作ったのか」というストーリーや背景です。ユーザーが抱いている「こんなライフスタイルを実現したい」や、「こんな商品があれば良いのに」という思いに対する共感と、企業独自の考え方をユーザーに伝えることが大切です。

そうすることでメッセージ性が増し、それが商品やサービス、企業そのものの付加価値となっていきます。これこそがブランディングの始まりであり、全てでもあります。

3.「脱」価格競争に成功したブランディングの具体例3選

ここからは、「脱」価格競争に成功したブランディングの例を具体的にご紹介していきます。

成功例からは学べることも多いため、ぜひブランディングの参考にしてください。

3-1.健康志向のユーザーの心に響く「オリーブ牛」

牛のブランドといえば飛騨牛や松坂牛などが有名ですが、オリーブ牛は香川県の小豆島酸で、オリーブオイル作りで出た残りカスを餌として与えたブランド牛です。

小豆島産の讃岐牛は他のブランド牛より安く取引されていましたが、生産者は新たな付加価値として、悪玉コレステロールを減らすオレイン酸を多く含むオリーブに目を付けました。

オリーブは小豆島の特産品であるため手に入りやすく、地産地消という付加価値が付きます。しかも、オリーブを食べて育った牛の肉はオレイン酸を他のブランド牛よりも多く含んでおり、肉質も柔らかくなるという結果が得られました。

以上のことが健康志向の高いユーザーに受け入れられ、オリーブ牛ならではの付加価値となり、以前よりも高価格での取引が実現できるようになりました。

3-2.ジャパンコーヒーを極める「サザコーヒー」

コーヒーといえばコンビニのコーヒーやスターバックスだと考える方は大勢いらっしゃると思いますが、茨城県に本店を構える「サザコーヒー」はコンビニやチェーン店を抑える人気を誇っています。

なぜ町中のコーヒー専門店に過ぎなかった「サザコーヒー」が、コンビニやチェーン店などといった競合に負けないほどのブランド力を身に付けたかというと、「ジャパンコーヒーを極める」というブレない理念と、その理念を実現しようとする行動力に尽きます。

「サザコーヒー」は自分達が考える理想のコーヒーを多くの人に知ってもらうために、積極的にイベントに参加して試飲してもらうことや、こだわりの自家農園でコーヒーを栽培するなど、常に行動と発信を繰り返してきました。

口で言うだけの人の言葉は相手の心には響きませんが、ブレない信念と行動が伴う人の言葉は受け入れやすいものです。まさに「サザコーヒー」は、チェーン店やコンビニとは一味違う特別なコーヒーとして受け入れられたからこそ、1つのブランドとしての地位を築き上げているのです。

3-3.新たな業態を展開している牛丼チェーン店

2019年に吉野家は60億円にものぼる赤字を計上していましたが、小盛や超特盛などのサイズの多様化を導入することで男性客だけでなく、女性客やシニア層の取り込みに成功しました。これによって顧客層が拡大し、黒字にV字回復するという偉業を成し遂げています。さらに、ライザップとコラボ開発したライザップ牛サラダなどの発売によって、健康志向の強い顧客の取り込みにも注力しました。

吉野家の主な競合であるすき家や松屋もそれぞれ新メニューやダイエットメニューの導入など、価格競争とは違う方向に事業展開しています。その結果、これらの牛丼チェーン店の取組みはユーザーに受け入れられ、それぞれ利益を出すことに成功しています。

ただし、牛丼業界は価格競争から顧客獲得競争が激しくなっています。そのため、牛丼チェーン店はメニューで顧客に訴えかけるブランド化の他に、セルフレジによる効率化や電子決済の導入による利便性の向上など、フード以外の面のブランディングも必要になりつつあります。

4.まとめ

ブランディングは商品やサービス、さらには企業そのものに付加価値を与えるものです。その付加価値とは価格やデザイン、機能性など目に見えるものではなく、ユーザーの「これが欲しい」という心に応える共感や、「なぜこの商品を作ったのか」というユーザーの心に働きかける背景やストーリーです。

「脱」価格競争を実現する外さないブランディングをするためには、ユーザーは「モノの豊かさ」より「心の豊かさ」を求めていることをしっかり理解するようにしてください。

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