5分で分かる「財務とは?」財務から始める強く魅力的な会社づくり

中小企業経営者の皆さんにとって大きな関心事は、会社を持続的に成長・発展させていくことでしょう。そのために何が必要かと問われた時、思い浮かぶものは何ですか?

売り上げを伸ばす、資金繰りを健全にする、人材を育成する、といったようにいくつかの具体的な方策が思い浮かぶと思います。

ここで「財務」という言葉が出てきた方は、経営に精通された方だと思います。なぜなら、中小企業経営者の方々で財務の重要性の本当の意味を理解し、実践されている方はまだまだ少ないからです。

それほど重要な財務とは何でしょうか?財務を理解することでどんなメリットがあるのでしょうか。当記事では「財務とは」という基本中の基本から、具体的な経営強化の方法まで解説していきたいと思います。

1.財務とは何か、なぜ重要なのか

この記事をお読みになっている方がまず知りたいのは、「財務とは何か」という基本だと思います。最初に財務とは何かという基本をマスターしていただきましょう。

1-1.まずは基本、財務とは何か

財務とは、企業の「お金」に関する計画や管理を行う業務のことです。具体的な内容は後述しますが、財務は「企業が生きていくための道筋をつける業務」と言い換えることもできます。

資金は企業にとって血液のようなもので、その血液が健全に回り、機能するためのコントロールをするのが財務です。

何となく重要なものであることは伝わったと思いますが、まだピンとこない方も多いことでしょう。それではさらに具体的な解説に進んでいきましょう。

1-2.財務と経理の違い

企業のお金に関する業務、それは経理のこと?と思われた方も多いと思います。財務と経理はどちらもお金に関する業務であることでは共通していますが、その中身は似て非なるものです。

経理は企業の経済活動を帳簿に記録し、それに伴う業務として請求や支払い、入金管理、さらには税金の申告や納税などを行う業務を指します。

それに対して財務は、経理業務によって得られた情報(帳簿や決算書など)をもとに会社の資金計画を立案し、そのために必要な資金調達などを行う業務のことです。

いかがですか?これを整理すると、

経理=企業のお金に関する具体的な業務

財務=企業のお金に関する計画や管理

と分類することができます。経理がなければ財務は成り立ちませんし、財務が正しく機能していなければ経理の意味がないというように、両者は相互補完の関係にあります。

1-3.財務の3つの役割

企業のお金について計画や管理をするのが財務です。その役割を果たすために、財務には3つの役割があると定義されています。

  • 資金繰り
  • 予算管理
  • 資金調達

いずれも企業の経営に関する重要な業務です。財務が正しく機能しているうちは、少なくとも「お金の問題」で企業が倒産することはありません。

1-4.経営者が財務を理解しておく重要性

ここまでの解説をお読みになって、財務の役割や重要性についてイメージできたかと思います。財務をどれだけ意識してきたか、これまでの経営を思い起こしてみてください。

気づけば財務と呼べるようなことをしてきたという方が多いのではないでしょうか。なぜなら、会社が今まで存続してきたということは有形無形にかかわらず財務が機能しているはずだからです。

もしそんな心当たりがないままに会社が存続してきたのであれば、それは危険です。お金の問題がたまたま起きてこなかっただけで、今会社があるのは結果オーライなのかもしれません。

すべての経営者が財務について専門的な知識まで持っておく必要はないと思いますが、財務の役割と重要性を知ることにより、それを意識するだけで経営は大きく変わります。

1-5.財務を軽視すると起きること

逆に財務を軽視すると、どんなことが起きるのでしょうか。考えられるのは資金ショートやそれによって起きる黒字倒産、または機会損失などです。これはとても重要なので、詳しく解説しましょう。

資金計画や管理が適切でないと経営が行き当たりばったりになってしまうため、いざ支払いの時に現金がないという資金ショートを起こしてしまいがちです。

慌てて親戚や知人などからお金を借りて急場をしのぐといった「解決策」もありますが、これも非常に不安定な資金計画なので危険です。資金ショートがさらに深刻になると、黒字倒産の憂き目にあってしまいます。

売上がしっかりあってビジネスモデルが機能しているのに倒産してしまうのは、経営者にとって最も悔しい結末です。

また、財務を軽視すると必要な時に資金を用意することができず、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあります。

機会損失はプラスになるものを取り損ねただけなのでゼロだとお考えの方もおられると思いますが、企業は常に成長していないとじり貧になります。

機会損失は事実上のマイナスになり、ボディブローのように効いてくるものなので、機会損失も重大な経営リスクです。

2.中小企業と財務の正しい関係と現実

財務を軽視すると恐ろしいことになるイメージをお持ちいただいた上で、中小企業と財務の正しい関係についての解説に進みます。

2-1.正しい財務のあり方

先ほど財務と経理のすみわけについて解説しましたが、この関係性を理解しておくことは正しい財務の理解につながります。

売り上げの管理や請求、納税など、経理で取り扱う数字はすべて過去の数字です。企業の経済活動の結果を記録し、管理するのが経理です。

それに対して財務は経理によって得られた数字に基づいて資金繰りの算段をしたり、予算を構築したりといったように、すべて未来の数字であることにお気づきでしょうか。

経理によって会社の置かれている状況を正確に把握し、それをもとに正しい道筋をつけるのが財務です。先ほど経理と財務は相互補完の関係にあると述べましたが、これこそ正しい財務のあり方です。

2-2.財務への理解から得られる正しい資金調達

3つある財務の役割のうち、資金繰りと資金調達はセットで考えて良いものです。もしくはもうひとつの予算管理についても資金繰りや資金調達とリンクするものなので、これらはすべて一体のものであると考えるべきです。

ところでこの資金調達には、良い資金調達と悪い資金調達があります。資金繰りの目的だけを達成するのであればどんな方法でも良いのですが、会社全体の利益を考えると財務の考え方から正しい資金調達を選択するべきです。

資金調達の方法別にメリットとデメリットを一覧表にしましたので、できるだけ上にある調達方法を選択するようにしましょう。また、上にある調達方法を選択できる環境を整備するべきです。

資金調達方法 メリット デメリット 優先度
助成金、補助金 返済の必要がなく有益 該当するとは限らず利用のハードルが高い
地方銀行 関係を構築する価値が高い 事業規模によってはハードルが高い
信用金庫、信用組合 関係を構築する価値が高い 経営基盤が盤石とは限らない
日本政策金融公庫 審査に通りやすく金利も低い 審査に日数を要し、保証人を要するケースが多い
ノンバンク金融 審査に通りやすく使い勝手が良い 金利が高い
知人、親戚など個人 ふさわしい人がいる場合は最も手軽 条件を付けられる場合がある

返済が滞ると人間関係にも悪影響

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 助成金や補助金は返済の必要がないため真っ先に検討すべき選択肢ですが、あくまでも該当する制度があることが前提であり、仮に該当しそうな制度があったとしても適用できるかどうかは分かりません。

希望者が多くなるため審査に時間を要す可能性もありますが、該当するのであれば検討するべきでしょう。

地銀以降はすべて返済の義務があるため、同じ借りるなら価値のある借り方をするべきという観点から優先度を順位付けしました。

こういった順位付けをして資金調達の戦略を立てるのも、財務の重要な役割です。

2-3.財務が機能すると黒字倒産を回避できる

経営者にとっての最悪の結末は黒字倒産であると述べました。黒字倒産が起きる最大の原因は資金ショートですが、資金ショートが起きるということは適切な資金計画や資金繰りができていなかったことになります。

もしかすると突発的な事態が起きてそのせいで資金繰りが悪化したといった事情があったかもしれませんが、そういった事態も織り込んで健全な資金繰りを維持するのも財務の役割です。

つまり、財務が機能しているうちは黒字倒産になってしまう可能性はとても低く、経営の持続性を担保する意味でも財務がとても重要です。

売上がしっかりとあって利益が出ているのに倒産というのは、考えただけでもぞっとする方も多いことでしょう。それを回避するためには、財務の重要性を認識して経営にしっかりと採り入れる必要があるのです。

2-4.正しい財務戦略から生まれる金融機関との付き合い方

資金計画や資金繰りといった財務の目的を果たすためには、金融機関との付き合いが重要なウェイトを占めます。

資金調達の手段として金融機関をいつでも利用できる環境があれば、突発的な事態が起きたとしても資金繰りの悪化を予防することができます。

そこで財務の役割として重要になるのが、金融機関との正しい付き合い方です。ここで考えていただきたいのですが、お金を借りるのはどのタイミングが適切だと思われますでしょうか。

  1. 資金が足りなくなってきた時
  2. 資金に余裕があり融資の必要は特にない時

普通に考えれば、①だと答える方がほとんどでしょう。それももちろん正解なのですが、財務の視点から考えると正解は②です。

なぜなら、資金に余裕のある時こそ金融機関はお金を貸しやすくなりますし、そういった時に実績を作って金融機関との信頼関係を作っておくことが、いざ本当に融資を必要とする時に役立つからです。

これは財務が持つ非常に重要な役割なので、金融機関と正しく付き合っていくためにも財務を強化する発想を持つようにしてください。

3.強い会社づくりに欠かせない財務

企業の「強さ」を決めるのは、規模だけではありません。実は財務の強さがそのまま企業の強さとイコールであると言っても過言ではありません。最後に、その強さを手に入れるためのポイントを解説します。

3-1.数字を読み解き、未来を知ろう

財務が正しく機能するには、会社の経営状態を示す数字が正確でなければなりません。そのためには経理が正しく機能している必要があるわけですが、その経理から上がってきた数字を経営者自らが正確に読み解けるのが理想です。

もちろん財務の担当者がいればその担当者が理解していれば問題はありませんが、会社のかじ取りを担う経営者が財務に精通していることは、強い会社づくりに大きなパワーとなります。

財務についての細かい知識を身につけるためには勉強を要しますが、まずは当記事で解説している内容を理解していただき、「財務を軽視しない」という意識を持つことから始めましょう。

3-2.財務に精通した人材を確保しよう

経営者自らが経理や財務の勉強をしてきたというのであればご自身で担当しても良いと思いますが、やはり財務には財務の専門家がいます。

特に財務では重要なパートナーとなる金融機関には、日々の業務でたくさんの企業の財務を目にしている人たちがいます。

自社で財務担当者を育成するのも良いですが、即戦力を求めるのであれば銀行や信用金庫など金融機関の出身者を採用するのもひとつの手です。

4.まとめ

当記事の結論は、「財務とは」という基本を理解していただくことで強い会社づくりをすすめ、経営者、社員それぞれが幸せになれる持続的な仕組みを構築することです。

企業には大手、中小、零細といった規模の分類がありますが、財務にこうした規模の差はありません。どんな規模の企業であってもその企業にふさわしい財務のあり方があります。

それを導き出して実践することで中小零細企業であっても大企業に負けないような強く魅力的な会社を作ることができるのです。

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